地震予知研究が必要な理由

 この度の災害により犠牲となられた方々に心よりお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様に謹んでお見舞い申し上げます。一日も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。

 さて、7月28日に発生した令和8年熊本地震は、前回のブログでも示したように「いつ起きてもおかしくない」地震でした。

 Nanjo, K.Z., J. Izutsu, Y. Orihara, M. Kamogawa, Changes in seismicity pattern due to the 2016 Kumamoto earthquake sequence and implications for improving the foreshock traffic-light system, Tectonophysics, 822, 229175, (2021). DOI: https://doi.org/10.1016/j.tecto.2021.229175

 上記の論文はある意味、今回の地震の危険性をあらかじめ指摘していたものになります。
 詳しくは静岡県立大学のHPにある「令和8年熊本地震について ―日奈久断層帯に関する本学の研究成果と今後の備え―」をご参照ください(https://www.u-shizuoka-ken.ac.jp/news/20260804a/)。

 「いつ起きてもおかしくない」地震は、別の言い方をすれば「いつ起こるかわからない」地震になります。
 今回の場合、この論文が発表された5年後だったことになります。

 地震予知・予測の三要素である、いつ(時間)・どこで(場所)・どの程度の大きさ(地震の規模)のうち、いつ(時間)以外はおおよそ指定できていました。また、政府が発表している主要活断層の評価よりも、精度が高い予測だったといってよいでしょう。

 令和8年熊本地震発生後、他の地域でも地震リスクを取り上げる報道がありました。
 例えば、 "福岡の警固断層にも「割れ残り」 21年前の福岡西方沖地震 専門家「地震を起こす可能性はある」 今回の熊本地震で注目" 福岡TNCニュース 2026/07/30 18:45
(https://news.tnc.co.jp/news/articles/NID2026073031460)

 こうした地震に対する注意喚起が、実際の防災にどれだけ寄与しているかを数値化することは困難です。
 それでも、防災意識の向上やそれに伴う備えの進展に関して、ある程度寄与していることには間違いないでしょう。

 日本ではこれまでの研究により、どこで(場所)・どの程度の大きさ(規模)の地震が発生する可能性があるかは示されています(例えば、南海トラフ地震)。ただし、全ての発生する可能性がある地震が示されているとまではいえません。

 地震予知・予測において、いつ(時間)を決めることが最も困難なことです。

 日本中、すべての建造物が震度7に耐えうるわけではありません。また、地震発生直後に津波が襲ってくるような地域もあります。
 こうした現実を考慮すると、「人命を救う」という観点から、耐震化や防災教育などと並んで、事前避難を可能にする短期・直前予知もまた、防災・減災のいち手段として、研究を続ける意義はあると考えます。

 差し迫った危険から「人命を救う」ことについては、特に「いつ(時間)」の研究が極めて重要だといえます。

2026年08月06日