地震予知・予測

地震予知とは

地震予知とは、いつ(時間)・どこで(場所)・どの程度(規模)の地震が発生するのかを的確に前もって示すことになります。一方、地震予測とは、上記の3要素(時間・場所・規模)を確率的に示すものになります。

また、地震予知は避難行動につながるような地震発生の直前や少し前に出されるものと一般的には考えられています。したがって、事前の避難行動につながる確度の高い地震予測が地震予知ということもできます。

そして、こうした地震予知は、少なくとも現時点では「不可能」というのが科学的な見解になります。

一方、世間には地震予知・予測情報を商売にしている方々もいますが、地震のことをある程度知っていれば、それらが「役に立たない」情報、「お金を出して買う価値がない」情報であることを見抜くことができます。しかしながら、こうした情報を買う人が何万人もいるという現状は、日本が地震大国であるにも関わらず、人々の地震に関する認識(リテラシー)の低さを示しているともいえるでしょう。


地震予知研究の現在地

地震予測研究の成果は、地震調査研究推進本部(https://www.jishin.go.jp/)が、全国地震動予測地図、海溝型地震の長期評価、主要活断層帯の長期評価などを公表しています。

一方、唯一予知が可能とされていた「東海地震」について、気象庁は2017年11月から東海地震に着目した情報(東海地震に関連する情報)の発表を廃止して、南海トラフ全域を対象とした「南海トラフ地震に関連する情報」を扱うようになりました。事実上、予知の旗を降ろしたことになります。警戒宣言のような強制力のある発表が出せる「地震予知」は、少なくとも現時点ではできないことを国が認めたことになります。

では、地震予知の科学的な研究はもう行っていないのでしょうか?そのようなことはありません。2011年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)についても、確からしい先行現象が複数見いだされ、しっかりとした審査のある英文科学査読誌に掲載されています。ただし、いずれも事後の研究により判明したことで、地震発生前に示されたものではありません。

2011年東北地方太平洋沖地震や1995年兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)など、大地震の前にみられる先行現象はあると考えられます。しかし、その現象があれば必ず地震が発生するとも言い切れず、その現象がなくても地震が発生する場合もあります。空振りや見逃しが全くなく100%の確率で地震と対応する先行現象は、少なくとも現時点では、見いだされていません。

地震は様々な要素がからみあって発生する”複雑系”の現象なので、そもそも100%の先行現象などないのかもしれません。そのような考えに立って、確からしい先行現象を見出し、それが地震とどの程度対応しているのかを確率として表そうとする研究が現在進められています。