地球温暖化
地球温暖化の問題とは
地球温暖化の問題とはどのような問題なのでしょうか。「地球を救おう」、"Save the planet",などと叫ばれることがありますが、これは誤った考え方だと個人的には思っています。正確に言うなら「人類を救おう」とか「今の生活を守ろう」になるでしょう。もし、「地球を救おう」とするなら、現在の温暖化とされる状況を作った原因を取り除けばよいでしょう。その原因は人類です。人類が地球上から消滅すれば化石燃料の使用も森林伐採もなくなります。晴れて地球は救われます。
地球温暖化の問題とは、如何にして人類が地球を救うのかということではなく、如何にして人類が人類を救うかといった問題です。本当にこの問題を解決したいなら、「地球を救おう」といった誤ったメッセージは今すぐやめるべきです。進むべき方向が間違っていたなら、正しいゴールにたどり着くことはできません。
文明が発達した現代社会においても人類は地球の一部であり、「地球を救おう」などと上から目線で地球をみることができる立場ではありません。なぜなら、地球は人類がいなくても存在し続けることができます。現に地球46億年の歴史の中で、ほぼ46億年間は人類なしで存在し続けてきました。一方、人類の歴史はせいぜい700万年です。人類は地球がなければ存在することはできません。今この瞬間に地球が消滅したなら、誰一人として生き残ることはできません。
一神教は砂漠といった過酷な自然を背景として生まれたものであり、多神教は森林など自然の恵みが豊かな環境から生まれた、といった内容の本を学生時代に読んだ記憶があります。自然(地球)とは人類が相対して克服するもの、と考えるのが砂漠の民(一神教)の思考で、自然は私たちに恩恵だけでなく災いももたらすもの、自然に逆らわずに共に生きると考えるのが森林の民(多神教)の思考、といった比較文化的な内容だったと思います。この概念の沿って考えるなら、地球を救おう,"Save the planet"は砂漠の民的な発想になるのかもしれません。
地球46億年の歴史の中で、今現在の地球表面の温度など地球からすればたかが知れています。地球創成期にはマグマオーシャン(マグマの海)の世界でした。そこまで遡らなくても、今より暖かな気温を地球は体験済みです。体験していないのは現在社会に生きる人類です。しばしば地球温暖化を表すために、地球を擬人化して汗をかいている絵を見かけますが、これも誤った考えから生まれたものです。マグマの海に覆われていたことがある地球は、今の温暖化程度で汗などかかないでしょう。私たちが地球温暖化問題を克服するために必要なことは地球のことをもっとよく知ることではないでしょうか。そして、地球に対して自然に対してもっと謙虚なることが進むべき道を誤らない出発点であると考えます。
地球温暖化問題の論点
地球温暖化問題の論点は、大きく2つに分けると、
1)近年地球は本当に温暖化しているのか、
2)今の地球温暖化の主な原因は、人間活動による二酸化炭素などの温室効果ガスなのか
になるでしょう。
1)については、様々な科学的データにより温暖化していると考えるのが妥当でしょう。テレビなどで否定論を主張していた論客も、最近はトーンダウンしてきた感があります。2)については過去のデータから、二酸化炭素量の増減と気温の高低とのあいだに相関がみられることから、これも正しいと考えてよいかもしれません。ただし、温暖化の結果として二酸化炭素が増えた、とする主張もあるので、やや抑え気味の肯定にしました。
次に、温暖化を抑制する方法として、二酸化炭素などの温室効果ガス排出抑制が第一に挙げられています。排出抑制といった考え方に間違いはないでしょうが、それと同じぐらいの比重で二酸化炭素の消費(固定化)も進めるべきです。ただし、二酸化炭素を地中に貯留す技術は、それが自然環境にどのような影響を及ぼすか不明な点があります。したがって、二酸化炭素の消費(固定化)は、自然の力を利用する(森林を増やす)ことを優先すべきです。「地球の肺」といわれたアマゾンの熱帯林は破壊が進み、すでに温暖化を助長している可能性があるともいわれています
(https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/21/031500124/)。