プラスチックのリサイクルは実質的に無意味

 "プラスチックごみのリサイクルは資源の無駄だ レジ袋もペットボトルも分別しないで燃やせばいい" 池田 信夫 2020.7.10(金)
(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61243)
のように、プラスチックのリサイクルに否定的な意見があります。

 『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』武田 邦彦 (著), 2007, 洋泉社、では「1本のペットボトルを作るのに必要な石油は重さにしてその2倍」、「リサイクルしてまた作るには7倍の重さの石油が必要」だから、「リサイクルしないで、燃料として燃やしてしまった方が良い」と言っています。

 これに対し、「ペットボトルから卵シートや繊維を作るマテリアル・リサイクルに必要な石油は、ペットボトル重量の5分の1以下」、「ペットボトルを再生するケミカル・リサイクルにしても、必要な石油はペットボトル重量の半分からほぼ同量」と、リサイクルの有効性を示す反論もあります。
 ↓
 "「ペットボトルのリサイクルは無駄である」説をめぐって大論争" 『通販生活』2007年秋季号
(http://archive.wiredvision.co.jp/blog/fujikura/200804/200804041200.html)

 私の主張は、リサイクルにより石油消費が減ったとしても、プラスチック生産そのものが増えている現状では、リサイクルは実質的に無意味、というものです。

 1972年に世界初のプラスチック・リサイクル工場がアメリカ・ペンシルベニア州に誕生しました。
(https://www.historyofplastic.com/plastic-history/history-of-plastic-recycling/)
 このときから、プラスチックのリサイクルが始まったといえます。

 しかし、世界におけるプラスチックのリサイクル率は、2019年になってもたった約9%です。
(例えば、https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20220224_n01/)

 その理由として、以下のことが指摘されています。
 1. コストと劣化の問題
 2. 同じ材質を集めないといけない
 3. 複合樹脂の問題
 4. 汚れたプラスチック
 5. 添加剤の問題
(https://lessplasticlife.com/plastics/trash-recycle/why-are-plastic-recycling-rates-so-low/)

 下のグラフ(図1)をご覧ください。

図1:世界のプラスチック使用量の推移
(https://www.oecd.org/content/dam/oecd/en/publications/reports/2022/02/global-plastics-outlook_a653d1c9/de747aef-en.pdf, Figure 2.2.より引用)

 リサイクルが始まったとされる1970年代からプラスチックの使用量は右肩上がりです。しかも、2019年の量は20年前と比較して2倍程度に増加しています。

 図2は1990年から2019年までの石油からつくられるプラスチック(Primary) と、リサイクルによりつくられるプラスチック(Secondary) の割合を示しています。

図2: リサイクルプラスチック生産の推移
(https://www.oecd.org/content/dam/oecd/en/publications/reports/2022/02/global-plastics-outlook_a653d1c9/de747aef-en.pdf, Figure 1.3.より引用)

 リサイクルプラスチックの割合は、全体の生産量に占める割合が徐々に増えてきてはいるものの、2019年時点で約6%です。石油からつくられるプラスチックの量も増え続けています。

 したがって、生産・消費そのものを減らさない限り、プラスチックの削減は不可能です。
 プラスチックのリサイクル率が低いことだけでなく、生産・消費そのものが増え続けているため、リサイクルしたところで焼け石に水、実質的にその努力は無意味になってしまいます。

 一方、脱プラスチックが無理であっても、減プラスチックなら、やればできるはずです。
 減プラスチックを実現したいなら、リサイクルに力を入れるのではなく、プラスチックの生産・消費を減らすライフ・スタイルを提唱し広めることではないかと考えます。

 ちなみに代替品の場合、代替品となる材料の資源消費などが問題となる可能性があります。

 消費を減らしても経済が冷え込まない、そんな社会システム、果たして可能なのでしょうか。

2026年08月27日