怪しい雲を見つけたら、まずは調べよう
令和8年熊本地震が発生した7月28日の夕方に、傘を開いたような大きな雲が熊本市などから確認され、SNS上では「地震雲?」と騒がれました。
あまり見たことがない形状の雲が現れると、「地震雲?」と騒がれることがあります。
もし怪しい雲を発見したなら、SNSに投稿する前に、まずはその雲を調べてみましょう。
ちなみに、令和8年熊本地震のときに見られた怪しい雲(下図)は、「午後5時ごろに宮崎地方で雨を降らせた雲とみられ、上空で強風が吹いたことで雲上部が広がった」とのことです。
"<2026年熊本地震>SNS投稿相次いだ「地震雲」正体は? 熊本県内震度7の28日夕の空 気象台に聞くと…【事実検証】" 熊本日日新聞 2026年7月30日 14:25
(https://kumanichi.com/articles/2019741)
図:28日の午後4時56分、嘉島町のイオンモール熊本の屋上から撮影された積乱雲
(https://kumanichi.com/articles/2019741 より引用、読者提供の写真)
なお、この雲は発達した積乱雲の最上部が平らに広がった「かなとこ雲」と呼ばれる雲です。
"SNSで話題になった「地震雲」の正体とは? 地震との関係や発生の仕組みを紹介" 2026/08/28
(https://www.yomiuri.co.jp/bosai-nippon/article/20212)
もし、自分で怪しい雲の写真を撮ったなら、最初に画像検索をしてみましょう。雲の名称がわかるのではないかと思います。
今回は「かなとこ雲」でした。ちなみにGoogleの画像検索では、「金床雲(かなとこぐも)」を「かんどくも」と誤読していました。
次に、「かなとこ雲」のワードで検索してみてください。たくさんの事例が表示されます。例えば、
「まるでラピュタ? 四国に“ナゾの超巨大雲”出現 「規格外のものを見た」 宇宙か… 2025年7月22日(火) 19:53」
(https://newsdig.tbs.co.jp/articles/gallery/2061513)
「兵庫県で大きな「かなとこ雲」がみられる 北部では雷雨に 2024.07.21 17:57」
(https://weathernews.jp/news/202407/210285/)
「記録的暑さとなった北海道で雨雲発達 かなとこ雲が出現 2023/08/23 16:55 」
(https://weathernews.jp/s/topics/202308/230195/)
「沖縄に雄大な積乱雲「かなとこ雲」が出現 急な強い雨に注意 2022/09/09 09:57」
(https://weathernews.jp/s/topics/202209/090075/)
「東海でかなとこ雲 2021年7月13日三重県 四日市市」
(https://weathernews.jp/s/curation/detail.html?cuid=202107130065)
「関東で「かなとこ雲」異様な光景…注意必要 2020年8月31日 19:07」
(https://news.ntv.co.jp/category/society/710796)
過去に発生した同様の雲がいつどこで発生したか、できるだけ多くの事例を調べ上げます。
次に、その雲が見られた周辺で、雲出現当日もしくは直後に、大きな地震が発生していたかを調べてください。
気象庁のホームページには、「日本付近で発生した主な被害地震」が掲載されています。
(https://www.data.jma.go.jp/eqev/data/higai/higai1996-new.html)
大きな地震といった表現は曖昧です。
今回のような場合、地震学では通常、地震の規模を表すマグニチュード(M) を指標としますが、一般の人々にとっては、震度のほうが印象に残っているのではないかと思います。なので、今回は震度を指標にします。
日本気象協会のホームページには、「過去の地震情報」が掲載されています。
(https://earthquake.tenki.jp/bousai/earthquake/entries/)
震度6弱以上の地震は数が多いので、震度6強以上の地震を対象としてみてみます。
2026年07月28日16時27分頃 熊本県熊本地方 M7.1 7
2026年06月25日07時30分頃 岩手県沖 M7.2 6強
2025年12月08日23時15分頃 青森県東方沖 M7.5 6強
2024年01月01日16時10分頃 石川県能登地方 M7.6 7
2023年05月05日14時42分頃 石川県能登地方 M6.5 6強
2022年03月16日23時36分頃 福島県沖 M7.4 6強
2021年02月13日23時08分頃 福島県沖 M7.3 6強
(2020年は震度6強以上の地震なし)
2026年07月28日は、時刻を比較すると地震前の雲ではなく地震後だったのかもしれません。
2025/07/22 四国、2024/07/21 兵庫、2023/08/23 北海道、2022/09/09 沖縄、2021/07/13 東海、2020/08/31 関東、いずれも「かなとこ雲」発生の前後に震度6強以上の地震は発生していません。
かなとこ雲が出現すると、その雲が見られた周辺で、その日もしくは直後に震度6強以上の地震が必ず発生していたわけではない、ということがわかります。
また、上記6例の「かなとこ雲」出現の日付に注目してください。
8月31日、7月13日、9月9日、8月23日、7月21日、7月22日、いずれも夏季です。そして、令和8年熊本地震も7月28日と夏季です。
かなとこ雲は、どうやら夏季に発生しやすいようだ、という推測ができます。ただし、この6例が日本で確認された「かなとこ雲」の全てではないことに注意しなければなりません。なので、あくまで限られた情報からの推測です。
ちなみに、Google画像検索では「夏場の高温多湿な時期や、激しい雷雨の際によく見られます」と書かれていました。
以前、X(旧Twitter)に投稿された、いわゆる「地震雲」を追っていたことがあります。
「地震雲?」とされる雲は、毎日にように投稿されていました。そして面白いことに、年末年始などはその投稿数が減少します。
一方、地震も小さいものを含めれば、毎日発生しています。ですから、投稿者が「地震雲?」と思った雲の後に、日本中探せば、どこかで地震は発生しています。
雲に限らず、しばしば発生する何らかの現象を持ってくれば、必ずその後に地震を見つけることができます。なぜなら、(小さい地震を含めれば)日本のどこかで必ず地震は発生しているからです。このような情報は、防災には役立ちません。
さて両者の関連を、かなとこ雲と震度6強以上の地震に限定した場合、両者に時空間的な近接性はないようでした。
地震雲?と投稿する方の多くは、気象現象としての雲を調べていないようです。
怪しい雲を見かけたら、SNSに投稿する前に、まずはその雲を調べてみましょう。
なお上記の作業、今は生成AIでも可能です。ただし、生成AIが提示した回答は裏どりを忘れないようにしましょう。