SDGsにかこつけた原発復権

 SDGs (Sustainable Development Goals: 持続可能な開発目標) といった言葉を最近よく見かけるようになりました。地球温暖化問題については、二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスの排出規制が取り上げられています。4月22日、菅総理は新たな気候変動対策目標を公表し、日本は2030年時点で2013年度比46%の温室効果ガス削減を目指すことになりました。

 二酸化炭素排出削減にかこつけて原子力発電の復権を狙っている人たちがいます。4月12日、原発の新増設や建て替えを推進する自民党議員連盟の設立総会が開かれ、安倍晋三前首相がその顧問に就きました。

 福島第一原発の事故によりその安全神話は崩壊し、東日本大震災以降、世論は脱原発へと大きく傾きました。しかし、SDGsにかこつけてその復権を画策していた人たちが公然と原発推進を打ち出してきました。

 原発は発電時に二酸化炭素を排出しないことでクリーンなエネルギーのイメージを我々は長年マスコミの報道や政府広報などで見聞きしてきました。しかし、原発は二酸化炭素よりはるかに猛毒な高レベル放射性廃棄物を生み出します。人が近づくと20秒ほどで死んでしまうほどです。その処分方法についてはいまだに解決されていません。フィンランドでは地下深くに埋めてしまう地層処分を推し進めています。日本も同様に地層処分を検討していますが、日本はフィンランドとは地層環境が全く異なります。フィンランドは地震や火山活動がほとんどありません。一方日本は、地震や火山活動が活発です。また、地下水も豊富にあります。同じ土俵で考えることはできません。

 これ以上、原発を推し進めて高レベル放射性廃棄物を増やすことは、SDGsに沿っているとは思えません。この議連の動きは今後も注視する必要があります。

2021年05月07日