今冬はスーパーエルニーニョ

 "この冬はスーパーエルニーニョ発生 日本で、世界で異常気象か"
(https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/7fb03d9d08c16b79d54db9fa8439f9017bd7b904)
といった記事がありました。

 気象庁は、毎月エルニーニョの監視速報を出しています。
(https://www.data.jma.go.jp/cpd/elnino/houdou/houdou.html)
 2023/3/10の速報:夏はエルニーニョ現象が発生する可能性と平常の状態が続く可能性が同程度(50%)。
 2023/5/12の速報:夏までの間にエルニーニョ現象が発生する可能性が高い(80%)。
 2023/7/10の速報:秋にかけてエルニーニョ現象が続く可能性が高い(90%)。
そして、2023/10/11の速報では、冬の間はエルニーニョ現象が続く可能性が高い(90%)、でした。

 エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり(0.5℃〜1℃)、その状態が1年程度続く現象です。
(https://www.data.jma.go.jp/cpd/data/elnino/learning/faq/whatiselnino.html)
 そして、スーパーエルニーニョとは、海面水温が平年より2℃以上高くなる現象です。

 過去にスーパーエルニーニョが観測された年は、1982~83年や1997~98年、2015~16年があります。
(https://www.jamstec.go.jp/j/pr/topics/column-20151104/)
(https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/7fb03d9d08c16b79d54db9fa8439f9017bd7b904)

 「気象人」のホームページには、気温の平年偏差と天候の特徴がまとめられています。
 冬(12月〜2月)のデータベースを見てみましょう。
(https://kishojin.weathermap.jp/data/winter.php)

 1982~83年は並冬でしたが、1997~98年は暖冬、2015~16年は全国的暖冬でした。
 一方、スーパーエルニーニョでない年でも暖冬はあります。全国的暖冬は、1989年、1993年、2007年、2009年、2010年などにみられます。
 このことから、スーパーエルニーニョの冬は全国的に暖冬になるとは必ずしも言えず、スーパーエルニーニョのない年でも全国的に暖冬となる場合があると言えます。

 また、冒頭に "この冬はスーパーエルニーニョ発生 日本で、世界で異常気象か" といった記事があることを示しましたが、近年、異常気象は毎年のことであり、スーパーエルニーニョだから異常気象、というわけではないと考えます。

2023年10月23日