核のゴミ、地層処分は将来に禍根

 CO2排出削減のため、化石燃料の削減や再生可能エネルギーの拡大が進められています。
 そうしたなかで、国際情勢に左右される化石燃料の輸入、自然に左右される再生可能エネルギーなどの不安定要素から、原子力発電の再開が進められています。

 10月30日、地球科学の専門家ら有志が原発の高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分について「地殻変動が活発な日本では、地下深くに埋める地層処分は不可能で、従来の政策を再検討すべきだ」とする声明を出しました。
 声明では、今後10万年間の地殻変動に伴う岩盤の脆弱性や地下水の状況を予測し、安定した場所を国内で具体的に選定することは現状では不可能と指摘しています。
 "核ごみ処分方法、再検討を 地学専門家ら300人声明"(2023/10/30 共同通信)
(https://nordot.app/1091642879719637663?c=302675738515047521)

 このニュースは、大竹まことゴールデンラジオ(文化放送)でも取り上げられました。
 「10万年なんて気が遠くなる」大竹まこと、核のゴミ処分地選びについて桁外れの閉じ込め期間に愕然、10/31(火) 17:21配信
(https://article.yahoo.co.jp/detail/87a6cdf8be852537fa7a6bdf4fb3df65891539c9)

 この記事の最後に、「CO2みたいに売り買いされそうだよね。背に腹は代えられないってことでよその国に行くのかなあ」といった大竹氏のコメントが紹介されていました。

 日本は、地震や火山活動といった地殻活動が活発な新期造山帯に属しています。また、降雨量も多く地下水が豊富です。
 一方、先行する北欧の国々は、地震や火山活動がほとんどない安定陸塊に属しています。

 この前提を無視して、日本は北欧と同様に地層処分にすることを法律で定めてしまったことが、そもそもの間違いです。
 一度決めてしまうと、元に戻す(振り出しに戻る)ことは至難の業です。

 地層処分は安全です、と技術者の中には、技術を信頼(過信?)している人もいます。
 しかし、2020年の外環道トンネル工事では、事業者であるNEXCO東日本とNEXCO中日本が、住民説明会などで常に「大深度(地下40m以深)での工事は地表には影響しない」と明言していたにもかかわらず、調布市で陥没事故が発生しました。

 また、九州の霧島連山に、最大で長さ15キロメートルの大規模なマグマだまりがあることがわかったのは、2018年のことです。私たちは地面の下(地下)のことを、すべて知っているわけではありません。

 そのようなことを考えると、最終的には大竹氏がラジオでコメントしたように、現状ではできない「売り買い」という取り決めを、新たに国家間で考える必要があるのかもしれません。

2023年11月06日