現実不可能なSDGsの本質とは?
SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の達成目標年度は2030年です。あと6年足らずで17の目標が全て達成できると本気で思っている人は、おそらく一人もいないでしょう。
SDGsの前文では以下のことが述べられています(抜粋)。
「この計画(アジェンダ)は、人間と地球、そして 繁栄のための行動計画です。そして、より大きな自由と、平和を追い求めるものでもあります。」
「わたしたちは、人びとを貧困や欠乏からときはなち、地球を守ることを決意します。」
「ともに持続可能な世界へ向かうこの旅をはじめるにあたり、だれひとり取り残さないことを誓います。」
(https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/preamble/ より)
自由と平和を追い求める、だれひとり取り残さない、大変素晴らしいです。ただし、個人的には「地球を守る」といった表現が引っかかります。
原文は以下になります。
"We are resolved to free the human race from the tyranny of poverty
and want and to heal and secure our planet. "
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/000101401.pdf)
の "to heal and secure our planet" の部分です。直訳すれば、「私たちの地球を癒し、保護すること」でしょうか。
地球を私たち人間の外にあるもの、あたかも犬や猫などのように人間が世話をし、保護するものとして捉えています。
この時点で、SDGsは人間のエゴイズムの産物と思ってしまいます。
地球と人間との関係を考える場合、私はしばしば次の問いを投げかけています。
1) 今この時点に、全人類が一瞬で地球上から消滅したとしたら、地球はどうなるでしょうか?
2) 逆に、今この時点に、地球が一瞬にして消滅したら、あなたは、そして全人類はどうなるでしょうか?
1) の答えは、おそらく地球は何もなかったかの如く存在し続けるでしょう。そもそも、地球46億年の歴史のうち、そのほとんどの時間に人類は存在しませんでした。
一方、2) はどうでしょうか?全人類の誰一人として生き残ることはできないでしょう。一瞬にして全人類が消滅するでしょう。
人間にとって地球は、生きていく上でなくてはならない存在です。そもそも、人類をはじめとした生命は地球から誕生しました。これに対し、地球にとって人類はいてもいなくてもいい存在です。
"人類は他の生命体の世話役か?"(2023年07月21日付ブログ)でも、地球と人類との関係について疑問を呈しました。
地球を人間の外界に置く考え方は、おそらく一神教(キリスト教)的な発想だと思っています。
一神教(キリスト教)的な発想で、人間と地球とのことを考えるなら、人類が持続可能な社会を実現することは出来ないでしょう。なぜなら、人類もまた、他の生物や無生物(岩石など)同様に、地球の構成員に過ぎないからです。
地球は人間の外界に存在するものではありません。地球のなかに人間がいる、人間は地球の一部に過ぎないのです。
このようなことを言うと、宇宙飛行士のように地球外に出てしまえば別だね、などと言う人がいるかもしれません。しかし、これも誤った考え方だと思います。なぜなら、地球外に行くためには地球上の資源を使わなければなりません。地球の存在なしに地球の外へ行くことは出来ません。
SDGs の前文をみると(17の目標に行く前に)、すでに前提が誤っています(少なくとも私はそう考えています)。したがって、SDGs は現実不可能といえます。