地震災害リスクと企業誘致
石川県企業立地ガイド(https://www.ishikawa-ritchi.com/)に、石川県企業立地PR動画があります。
これを見ていると、53秒あたりから「災害リスクが低い」の項目が始まり、「大地震の発生確率が低い石川」として、今後30年以内の震度6弱以上の発生確率マップが使われています(下図)。
図:大地震の発生確率が低い石川(石川県企業立地PR動画から)
地震動の確率予測マップ(全国地震動予測地図)は、確率が低く見積もられている地域では「安全」と捉えられてしまう恐れがある、と以前から言われていました。
地震動に限らず、津波浸水想定のハザードマップなどでも、被害想定外の地域では「安全」と考えてしまうのが、人の自然な発想なのかもしれません。
地方が企業を誘致する際に、災害リスクが低いことはセールスポイントになります。したがって、石川県でも前述のような動画を作ったのでしょう。
同様のアピールは、2016年熊本地震前の熊本県でも行われていました。
当時の熊本県企業立地課のwebサイト企業立地ガイドKUMAMOTOでは、熊本地域は過去120年間(M7以上)の地震が発生していない「安全地帯」、とアピールしていました。
この安全アピールは、地震が発生した4月14日の6日後(4月20日)には削除されたことなどが、ITmedia NEWSの記事として残っています。(https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1604/21/news074.html)
日本人は「臭いものに蓋をする」と、都合の悪いことを隠してしまう傾向があります。
熊本県の「安全地帯」アピール記事が、地震発生6日後には削除されていたことから、石川県の企業立地PR動画に携わった方々は、このことを知らなかったのかもしれません。
災害の問題点を教訓として、次の世代に生かしてもらうには、当事者にとって都合の悪いことであっても、それを世間に知ってもらうことが大切なのではないかと考えます。