二酸化炭素は"悪"といった刷り込み

 地球温暖化の問題が世間に広く浸透してきたことに伴い、その原因とされる二酸化炭素(CO2)を悪者と考える人が多くなっているようです。もう少し正確に言うなら、"二酸化炭素(CO2)排出=悪"といった考え方です。
 大学の講義のなかで、地球温暖化に関して学生に意見を述べてもらったことがあります。ほとんどの学生が、発電に際しCO2を排出するかしないかを、その発電方法の良し悪しの判断基準にしていました。例えば、「原発は発電時にCO2を排出しないからクリーンなエネルギー」といった考え方です。原発推進派による宣伝が国民に浸透していると感じました。
 近づいたら人が数十秒で死んでしまう猛毒(高レベル放射性廃棄物)を生む原発のどこがクリーンなのか?その安全な処分方法も見いだせていないのに、人類は原発を止めようとはしません。また、チェルノブイリや福島第一のように、大事故が発生したなら汚染物質は世界中に拡散します。発電所付近は人が住めない土地になってしまいます。こうした原発のどこがクリーンなのでしょうか?
 "二酸化炭素排出(CO2)=悪" といった刷り込みにより、別の悪者である放射性物質(廃棄物)の存在を忘れてしまいがちです。クリーンかどうかの判断基準はひとつではありません。本当にクリーンな発電を求めるなら、私たちは様々な基準で比較検討して判断すべきです。
 では、太陽光発電や風力エネルギーなどの再生可能エネルギーはクリーンな発電なのでしょうか?
 太陽光や風力は、発電時にCO2を排出しませんし、放射性廃棄物も出てきません。その点ではクリーンといえるかもしれません。しかし、太陽光や風力は発電能力が不安定なため、蓄電池(バッテリー)がどうしても必要になります。そのバッテリーには、いわゆるレアメタル・レアアースが使われます。
 レアメタルやレアアースが、どこでどのようにして採掘・製錬されているのでしょうか?その過程でCO2や他の有害物質はどの程度作られるのでしょうか?本当にクリーンかどうかは、原材料の生成(上流)から発電(中流)、廃棄(下流)まで、全体を通して考えなければ、正しい答えにはたどり着けません。原発の原料となるウランについても、石油や石炭などについても同様です。特に、原料の発掘や製錬といった上流部に関する情報は、ほとんどと言っていいほどマスコミは取り上げていません。

 日本では、官僚などが政治家に忖度して、情報を隠蔽したり改ざんしたり、はたまた破棄したりして、事実を覆い隠してしまいます。
 しかし、地球は忖度してくれません。データを改ざんしてカーボンフリーだ、と主張しても、CO2の濃度が実際に減るわけではありません。事実ベースで考えなければ、問題の解決にたどり着くことはありません。

2022年01月24日