ロシアのウクライナ侵攻と日本の核共有議論

 ロシアがウクライナに軍事侵攻しました。そして、ロシア・プーチン大統領は核兵器使用まで匂わせています。
 こうした現状に対して、「日本も核兵器共有を議論すべきだ」といった声が安倍前総理や日本維新の会から上がっています。しかし、非核三原則のある日本では、核兵器は「もたない、つくらない、もちこまない(もちこませない)」ものです。日本維新の会の松井一郎代表(大阪市長)は非核三原則を昭和の価値観と述べたようです。
(https://www.jiji.com/jc/article?k=2022022800933&g=pol)

 実際に軍事侵攻したロシアの脅威だけでなく、日本周辺には北朝鮮や中国の脅威もあります。これら3国とも核兵器保有国です。核の脅威に対しては核で対抗と考えるのはわからなくもありません。一方で、広島と長崎に原爆を落とされた日本として、非核三原則は絶対に守るべきだ、といった意見もわからなくもありません。

 こうした議論をする際に、忘れてならないことがあります。それは「旧敵国条項」です。これは国際連合憲章中にある条項で、第53条、第77条1項b、第107条に規定があります。日本は旧敵国のひとつであり、簡単に言えば、日本の軍事活動をロシアや中国が侵略行為と見なせば、安全保障理事会の許可を必要とせず、日本を攻撃できるものと考えてよいでしょう。
 戦後70年以上が経過した現在でも、この旧敵国条項をはじめ日本が独立国ではないような取り決めが数多く残っています。核共有などの議論の前に、日本にとって不平等な取り決めの解消についての議論が必要かと考えます。

2022年03月01日