レジ袋、種類別の環境負荷
5月31日のブログ「レジ袋vsマイバッグ」では、レジ袋とマイバッグの環境負荷を二酸化炭素(CO2)排出量の視点から研究した結果を紹介しました。ひと言でいえば、マイバッグのCO2排出量はおよそ50回使ってレジ袋並みになる、といった内容でした。
今回は2018年に発表されたデンマークの研究結果 "Life Cycle Assessment of grocery carrier
bags" (https://www2.mst.dk/udgiv/publications/2018/02/978-87-93614-73-4.pdf)
を見てみたいと思います。
デンマーク国内で容易に手に入るキャリーバッグの種類別に、スーパーマッケットから家庭まで、平均容積22リットル、平均重量12キログラムの1回分の食料品を運ぶ想定の実験になります。1回分で12キログラムの食料品とは、かなり重いですね。
基準となる平均的なレジ袋はLDPE(低密度ポリエチレン)1枚になります。LDPEは日本で流通している大半のレジ袋原料HDPE(高密度ポリエチレン)に比べて柔軟性があります。日本のレジ袋に慣れていると、使いにくいと感じるかもしれません。
プラスチック系のキャリーバッグは、シンプルなLDPE製意外にハンドルが硬質なLDPE製やリサイクルLDPE、バイオプラスチック製など8種類、紙製は無漂白と晒し、繊維製はコットン(綿)とオーガニックコットン、さらに繊維とプラスチックの複合素材製を含め、計13種類別にLCAの観点から環境負荷の度合いを導き出し、比較しています。
環境負荷の度合いは、気候変動、オゾン層破壊、資源枯渇(化石および生物)、水資源枯渇など推奨環境影響(EUC2010)とよばれる複数の項目に対して実施されました。
比較は、平均的なレジ袋LDPEキャリーバッグをゴミ箱用に再利用した場合とで行われました。
結果、LDPE以外のプラスチック製キャリーバッグは、環境負荷の全指標を考慮した場合、30〜80回程度は買い物袋としての再利用が必要となりました。紙製は40回程度でした。
一方、従来のコットンは7,100回、オーガニックコットンは20,000回、そして複合素材が870回でした。
石油由来のプラスチック製よりも、天然素材のコットンのほうが環境負荷が大きい、しかもオーガニックコットンが最も大きい結果を示しています。
首をかしげてしまいます。なぜコットン、なかでもオーガニックコットンの環境負荷がそんなに大きいのか?この報告書からは、その理由を読み取ることができませんでした(私の力不足かもしれませんが、、、)。
コットンの謎はさておき、5月31日付「レジ袋vsマイバッグ」でも、今回のデンマークの研究結果でも、レジ袋より丈夫なマイバッグ等は、丈夫な分、環境負荷が大きくなることは確かなようです。
どうやら、レジ袋を繰り返しレジ袋として再利用することが、最も環境負荷が小さくなりそうです。しかし、さほど丈夫ではないので、何十回も再利用するのは無理かもしれません。