国を守る。暮らしを守る。
7月10日投開票の参議院選挙で示された各党の選挙公報をあらためて見ますと、「国を守る」、「暮らしを守る」、「日本を守る」といった文言を複数の政党が示していました。
これは、ロシアのウクライナ侵攻に関連した軍事的な意味だけでなく、エネルギーや食糧など私たちの生活に関わる危機感から、政治が国民の生活を守ることを訴えたかったからではないかと推測します。
選挙前の5月、自民党は原油や小麦などの価格高騰に対し、食料の安全保障強化策として、小麦や大豆の国産化を進めるとの報道がありました(https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000254959.html)。
この報道を聞いたとき、最初に思ったことは「誰が作るのだろう?」といったことです。農家の高齢化と後継者難はすでに顕在化しています。そればかりか、日本社会全体が高齢化しています。いったい誰が作物を作るのでしょうか?
「外国人技能実習生を増やせば良い」などと考える人がいるかもしれません。しかし、外国人技能実習生の制度は「現代の奴隷」などと非難されることもあります。それに、国力がどんどん低下している日本に、労働者として外国人を惹きつける魅力が今後もあるとは限りません。より賃金の高い国に外国人労働者を奪われることも考えられます。
若い働き手がいないということは、農業だけでなく私たちの暮らし全般が脅かされます。国土強靭化で防災力アップといっても、誰がそのハードを整備するのでしょうか。各地の消防団員も減少しています。防衛については、予算を増やして武器や設備を充実させることは可能でしょう。しかし、自衛隊員がいなければ国は守れません。
よく「少子高齢化」といった言葉が使われますが、少子化と高齢化は別物です。高齢化が進んでいたとしても、少子化でなければ、言い換えるなら高齢者を支える働き手がいれば、今の年金問題などは生じません。
国を守ること、暮らしを守ること、その礎は人です。