電気自動車はSDGs的にアリか? - CO2排出量から - (6)
今回は、電気自動車はSDGs的にアリか? - CO2排出量から - (5) 同様に、case1) 2020年の販売台数を9500万台、2050年を1億2500万台とし、毎年100万台の増産とした場合、に加え、case2)
2020年から2050年まで販売台数は9500万台のままとした場合、とで、2020年から2050年までの間に排出されるCO2の総量を比較してみます。
case1) のガソリン車と電気自動車の比率は、電気自動車はSDGs的にアリか? - CO2排出量から - (5) と同じです。そして、年間2万キロ走行で20万キロ走行時点(10年間)で廃車とします。
Fig.1 は年ごとの生涯CO2排出量を表しています。例えば2020年は、ガソリン車と電気自動車あわせて9500万台が生産されます。それらがすべて20万キロ(10年間)走った場合に排出されるCO2排出量が2020年の棒グラフになります。
2042年以降は2050年まで、9年分、8年分、、、1年分の排出量になるため、グラフが右下がりになります。
このようにして見積もられた2050年までに排出されるCO2の総量は、16,865,225 [トン] となります。
Fig.1
case2) はすべてガソリン車で計算します。2042年以降は case1) と同様の理由でグラフが右下がりになります。
このようにして見積もられた2050年までに排出されるCO2の総量は、15,562,900 [トン] となります(マイナス7.7%)。
Fig.2
2020年から2050年までに排出されるCO2の総量でみても、経済発展(毎年増産)を技術革新(電気自動車)で補おうとするSDGs的発想は破綻していることがわかります。
技術革新をせずに(ガソリン車のまま)、経済発展を抑制(生産台数は横ばい)したほうが、2050年までに排出されるCO2が削減できる計算になります。
これまで数回にわたって考えてきた電気自動車普及の効果については、ある仮定にもとづく単純な計算に過ぎません。
しかしながら、今世界の大きな流れになっている電気自動車への移行については、人類が生き延びるための地球環境保全を優先するのであれば見直すべき、少なくとも再考すべき事案です。
一方、資本主義における主導権争いが優先されるならその必要はないでしょう。
SDGs そのものが、どうも大きな矛盾を抱えていることが、これまでの調べで見えてきました。
そのことは横に置いて、再度、 電気自動車はSDGs的にアリか?を考えると、CO2排出だけでなく、別の面からも SDGs的にナシ!といえることがあります。そのことについては、また別の機会に考えてみたいと思います。