電気自動車のCO2排出量、実はもっと多い?
9月5日付のブログ「電気自動車とレアメタル」では、レアメタルのひとつコバルトについて、SDGs的にナシ!な事実を取り上げました。マスコミが紹介しない(世間にあまり知られていない)レアメタルの実態については、まだまだ述べたいことがありますが、今回は電気自動車
(EV) の環境破壊に関する注目すべき記事を紹介します。
「バッテリー生産における「知られざる環境負荷」が明らかになってきた 」(https://wired.jp/article/the-surprising-climate-cost-of-the-humblest-battery-material/)は、WIREDの2022/6/20付の記事です。
電気自動車に搭載されるバッテリーについては、正極で使われるレアメタルに関心が集まりがちです。この記事は負極に使用されるカーボン(グラファイト:黒鉛)に焦点を当てています。
負極材のグラファイトが環境に及ぼす影響が低く見積もられていたことを、ある2つの研究が明らかにしたという内容です。生産工程で排出される二酸化炭素(CO2)は、これまでの推定値より最大で10倍にもなるというのです。「企業が環境影響評価によく用いている数字について、実際より大幅に影響を低く見積もっていることをどちらの研究も示した」とあります。
具体的には、負極に使われているグラファイトの9割超が中国産で、その大半が石炭火力発電に依存する内モンゴル自治区で製造されていた事実がわかったことにより、これまでの仮定が崩れるといった内容です。
仮にこの研究結果が事実だとすると、本ブログで計算してきたこと、そのベースとなった Volvo (2021) にあった数値も変わってしまいます。
電気自動車推進派の人たちからすれば、バッテリー製造工程の環境負荷は特に低くしたいでしょう。本当にに低くなってくれれば良いのですが、実際よりも低くみせようとしていたなら大問題です。
先日、"zero emission" と車体後部に書かれた電気自動車を目にしました。走行時だけのことを取り上げれば間違いではないかもしれません。しかし、その電気の大半は現在、火力発電で賄われています。仮に、再生可能エネルギーで充電されたとしても、新車納入時点で既に大量のCO2を排出しているのが電気自動車の実態です。
こうした事実に目を背けていたなら、二酸化炭素排出削減のため、と称して電気自動車を推進しても、地球温暖化は決して改善できないでしょう。