台風は凶暴化しているのか?
19日現在、台風14号が日本列島を襲っています。最新の情報をこまめにチェックして、事態が深刻化する前に避難行動をとることが自らの命を守ることにつながります。
地球温暖化により、近年台風が巨大化、凶暴化している、といったことを時々耳にすることがあります。
下表は、気象庁ホームページになる「中心気圧が低い台風 (統計期間:1951年~2022年第2号まで) 上陸時(直前)の中心気圧が低い台風」10個になります。今回の台風14号は上陸直前が935hPa(ヘクトパスカル)とのことなので、1951年10月14日の台風と並んで4番目に中心気圧が低かった台風になります。
Table 1: https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/typhoon/statistics/ranking/air_pressure.html
より
この表を見ると、1950年代に4個、60年代に3個、70年代に1個、90年代に2個となっています。2000年代以降にはひとつもありません(ただし、今回の台風14号が2000年以降初めてランクインすることになります)。
ということは、地球温暖化の影響で、近年台風が凶暴化しているといった事実は、少なくとも日本については当てはまらないことになります。
下図はそれぞれ、1951年から2021年までの全国への台風接近数と台風上陸数を示しています。いずれも気象庁ホームページに掲載されているデータから作成しました。
Fig.1: https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/typhoon/statistics/accession/accession.html
より作成
Fig.2: https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/typhoon/statistics/landing/landing.html
より作成
いずれを見ても、近年増加しているわけではありません。
地球温暖化で台風が凶暴化しているとか、増加しているとか言われると、何となく「そうかな」と思ってしまうかもしれませんが、データはその主張が正しくないことを示しています。