ハザードマップの認知度
先週末の連休は、台風15号の影響で静岡県をはじめとして、中部地方や関東地方で大雨による被害に見舞われてしまいました。二週続けての大雨被害です。
自分の住んでいるところが洪水で、どの程度の浸水被害に見舞われる可能性があるのか、また、避難場所はどこにあるのかなどが記された地図を洪水ハザードマップといいます。各自治体で作成し、全戸配布したり市町村のホームページで紹介したりするなどして、住民への周知徹底を図っています。
毎年、日本のどこかで風水害が発生しています。日本に住んでいれば、風水害はもはや他人事ではありません。ハザードマップから浸水の危険性や避難場所を確認しておくことは、命を守るためには大切なことです。
なお、ハザードマップは洪水のほかに、土砂災害や地震、火山、津波などがあります。
平成30(2018)年7月豪雨では、西日本を中心に全国的に広い範囲で記録的な大雨が発生し、死者224名にのぼる被害となりました。(http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/report/2018/20180713/jyun_sokuji20180628-0708.pdf)
大きな被害が出たまちのひとつ岡山県倉敷市真備地区では、事後に兵庫県立大の阪本准教授らによってハザードマップの認知度等に関する調査が実施されました。その結果、ハザードマップの認知度は75%でしたが、内容まで理解していた人の割合は24%にとどまりました。
(http://www.bousai.go.jp/fusuigai/suigai_dosyaworking/pdf/dai2kai/sankosiryo3.pdf)
一方、令和元(2019)年台風第19号等により、人的被害が生じた市町村住民におけるハザードマップの認知度調査では、51.3%と半数以上が「見たことがあり避難の参考にしている」と答えました。また、ハザードマップを見たことがあり、かつ自宅が浸水想定区域内などに入っている人の43.5%が実際に避難行動をとっていました。これに対し、ハザードマップ等を見たことがない人の避難行動は16.4%に過ぎませんでした。(https://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/r02/zuhyo/zuhyo1-01_01_02.html)
命を守る行動を起こせるかどうか、ハザードマップで危険性を知ることが、まずは大切と言うことができます。
栃木県足利市では、令和元(2019)年台風第19号の影響で、旗川が氾濫し1名の方が亡くなられました。しかし、浸水した地域は浸水想定エリアに含まれていませんでした。これは、足利市のハザードマップが渡良瀬川の氾濫を想定したもので、旗川の氾濫が考慮されたものではなかったからです。
このように、今ある洪水ハザードマップが地域を流れるすべての河川を対象としているとは限りません。通常自治体では、河川ごとのハザードマップを作成しています。どの河川のハザードマップなのかを確認しておくことも大切になります。