それでも資源は大量消費される

 現在、世界中の自動車生産は、内燃機関車(ガソリン車やディーゼル車)から電気自動車へと、急速な切り替えが進んでいます。

 電気自動車は走行中に二酸化炭素(CO2)を排出しないことから、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させるカーボンニュートラルに見合った自動車と多くの人は信じているようです。特に、走行時の電気が再生可能エネルギーで作られたものであれば、CO2のことだけ考えれば、環境にやさしい、エコフレンドリーな製品と言えそうです。

 しかし、本ブログでも取り上げてきたように、電気自動車は生産から廃棄までのライフサイクル全体で見た場合、決してエコフレンドリーではない、となってしまいます。
 生産過程におけるCO2排出は、ガソリン車などの内燃機関車よりも多いことが、複数の研究で指摘されています。
 電気自動車は内燃機関車に比べ車両が重いです。このことからだけでも、電気自動車のほうが多くの材料(資源)を使っていることが想像できます。多くの資源を使っているということは、その生産過程で多くのCO2が排出されていると推測できます。

 このように、詳細なデータを知らなくても、より重い車両という事実から、直感的に電気自動車のほうがより多くの資源を消費し、(資源をより多く消費することから)CO2をより多く排出していると想像できます。さらに、電気自動車の生産を推進している Volvo でさえも、電気自動車のほうが生産過程でより多くのCO2を排出しているといったデータを示していることなどから、それが事実であろうとなるわけです。

 また、多くの天然資源を消費しているということは、より多くの自然環境を破壊していることになりますから、この点からも決してエコフレンドリーではない、といえます。
 これまでのブログで示した様に、アルミニウムは4割増、銅は3〜4倍、電気自動車のほうが内燃機関車よりも多く消費します。また各種レアメタルも電気自動車のほうが多く消費しています。

 電気自動車が広まる世界は、石油などの化石燃焼資源の代わりに、銅やレアメタルなどの鉱物資源が大量に使われる社会になるだけで、地球資源の大量消費といった根本的な問題の解決にはつながりません。
 持続可能な社会にするには、より少ない資源消費で済む製品の開発や、エネルギー収支的にも意味あるリユースの確立を同時進行で考える必要があります。

2022年12月19日