地方議会はオワコンか?

 4人に1人が無投票(選挙なし)で当選。4月9日投開票の道府県議選では、全体の4割弱に上る348選挙区で、定数を超える候補者がなく、4人に1人にあたる565人が無投票で当選しました。
(https://smart-flash.jp/sociopolitics/229513/)

 また、4月18日告示の町村議員の選挙では、およそ3割にあたる1250人が無投票で当選しました。
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230419/k10014042601000.html)

 下図は統一地方選挙の投票率の推移です。今回の市議会議員選挙では半分以上の有権者が棄権したことになります。

https://www.asahi.com/articles/ASR4S6GF7R4SOXIE02C.html より

 選挙があっても、半数以上の有権者が投票していないということは、当選した全ての議員を否定する(認めない)声が過半数に達している、と考えることもできます。

 もはや、今の地方議会、選挙制度はオワコンと言えます。特に道府県議選で4人に1人、町村議員選では約3割の候補者に対して、選挙といった権利を有権者が行使できない状態が、それを物語っています。

 上の図からも明らかなように、投票率の低下は長年の傾向です。
 もし、本気で地方政治を立て直す気があったなら、遅くとも4年前から制度改革に着手できたはずです。しかし、地方議員も国会議員同様に、自己保身が最優先の人が多いようです。

 私も地方議員の経験があるので、その点は実感しています。
 議員定数削減は、自分が当選しさえすれば今の利権を保持できるので、比較的通りやすいです。
 一方、議員報酬削減は非常に困難です。改革派とされているような議員ですら反対します。特に、議員を職業としているサラリーマン議員にとって、報酬削減は何としても避けたいのでしょう。

 かく言う私もサラリーマン議員でしたが、議員報酬削減には賛成でした。生活に余裕があるわけではありません。しかし、人口減や地方経済の衰退などを考慮すると、議員として結果を出せなかった、となります。となれば、地方政治を担っている議員が責任を取るのは当然、といった考えでした。

 しかし、現状の地方議会は、このような小手先の改革でどうにかなるといったレベルでありません。投票率50%以下の事実がそれを証明しています。

 では、大胆な改革、どのようなものが考えられるでしょうか。
 例えば、財政難が深刻な自治体は、福島県矢祭町のように、議員報酬を日当制にするのも一案です。

 議員のなり手がいないなら、サラリーマンや主婦(主夫)などでも議会に出られるよう、議会開催日時を変えることや、Web参加を認めることなどが考えられます。
 ただし、その際には多くの人が選挙に立候補しやすい環境になるよう、選挙制度の改正も同時に行うべきです。

 また、議員が地方運営の役員として、目標数値に届かなかった場合には責任を取る、などとすると、取り組む本気度が違ってくるでしょう。ただ、誰がどのような目標を定めるのか?責任の取り方はどのようなものにするか?など、実現するには問題が多いです。

 次の選挙までは、4年あります。小手先の改革でどうにかなるレベルは、とうに過ぎています。
 地方議員のありようを議員自らが抜本的に変えなければ、議員は不要、との烙印を押されてしまうでしょう。いや、半数以上が投票しない現状が、既に烙印を押された状況なのかもしれません。

2023年04月28日