増える集中豪雨、45年前の2.2倍
線状降水帯がもたらしたとされる集中豪雨の発生頻度が、この45年間で2.2倍に増えている、といった気象庁気象研究所の研究結果がニュースになっていました。
(https://mainichi.jp/articles/20230602/k00/00m/040/469000c)
最近見聞きするようになった線状降水帯とは、次々と発生する発達した雨雲が列をなし、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる強い降水をともなう雨域のことをいいます。
(https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/kishojoho_senjoukousuitai.html)
温暖化の影響として、近年台風が凶暴化しているなどといわれることがありますが、それがウソであることは、本ブログでも取り上げています(https://dfir-lab.info/posts/item36.html)。
しかし、集中豪雨の発生頻度が近年増加しているのは事実のようです。
加藤輝之, 2022, アメダス3時間積算降水量でみた集中豪雨事例発生頻度の過去45年間の経年変化(https://metsoc.jp/tenki/pdf/2022/2022_05_0003.pdf)
がこのニュースの元となった研究成果です。
この研究では、3時間積算降水量が100, 130, 150, 200mmをそれぞれ閾値とした場合、いずれにおいても、年平均発生数が増加傾向にあることを示しています。
タイトルの「45年前の2.2倍」は、3時間積算降水量130mmの場合の結果です(1976年と2020年の比較)。
図:1976年から2020年のアメダス降水量データから抽出された集中豪雨(ピンク/赤色)など
加藤輝之 (2022) より引用
また、年平均の他に月別(6~10月)でも計算しています。梅雨期(6, 7月)の集中豪雨の発生頻度は、約3.8倍になっています。一方、8, 9月は、約1.5〜1.7倍程度です。
台風は凶暴化していませんでしたが、雨の降り方については、近年集中豪雨が増えていることがデータにより裏付けられたといえます。
マスコミが広めようとするイメージに流されず、データで実情を判断することが大切です。