八丈島の気温データの補正について

 「補正?改ざん?八丈島の気温データ」(2023/6/21付の本ブログ)では、IPCC報告書の素材にもなったGISSサイト上の八丈島の気温変動グラフの怪しさについて取り上げました。気象庁が公開した補正グラフに手を加えて、温暖化がより顕著に見えるようになっていました(渡辺正氏の指摘通り)。

 アメダスの記録については、GISSよりも気象庁のほうが、当然ながら、よく知っているでしょう。その気象庁が示したデータに対して、手を加えていることは、補正というより改ざんといったほうがよいのではないでしょうか。

 さて、地球が温暖化の傾向を示しているのかについて考察する際、都市化によるヒートアイランド現象の影響が小さいであろう島の観測データは、実測値としてより信頼できるものと考えられます。

 気象庁ホームページにある八丈島の気温データは、1907年からになります。
 観測場所の移動など何らかの変更があった2003年より前(1907年〜2002年)の期間で長期トレンドを推定すると、およそ0.7℃/100年になります。
 一方、「気候変化レポート2018」にある補正後の1907年から2018年までの長期トレンドは0.8℃/100年でした。
(https://www.jma-net.go.jp/tokyo/shosai/umi/kikouhenka/data/47678.html#MEANTEMP)

 2003年から2022年までのトレンドは、2.8℃/100年になります。ただし、0.7℃/100年が95年間と100年に近い期間だったのに対し、2.8℃/100年は19年間のデータなので信頼度は異なります。

 気象庁が補正をした際、なぜ2002年以前のデータを実測値より低くしたのかについての理由は不明です。
 しかしながら、1907年〜2002年が0.7℃/100年に対し、補正後の1907年〜2018年が0.8℃/100年であることは、0.1℃/100年しか違いがないので、妥当ではないかと考えます。

 111年間の観測データが示す八丈島の年平均気温の推移は 0.7〜0.8℃/100年で、ヒートアイランド現象による気温上昇の影響が小さい、信頼できる値と考えます。
 一方、IPCC報告書の素材にもなったGISSによる八丈島のトレンド、1.2〜1.5℃/100年(渡辺正著, 「気候変動・脱炭素」14のウソ, 2022, 丸善出版, 41ページより)は、信頼できない値と考えます。

2023年06月23日