東京五輪、CO2排出実質ゼロ "実質"って何?

 あまり知られていないかもしれませんが、東京五輪・パラリンピックでは、大会開催によって生じる二酸化炭素(CO2)の排出量を「排出量取引制度」を利用して、"実質" ゼロにするとのことです。そして、東京オリ・パラの開催で発生するCO2は東京都と埼玉県が無償で引き受けるとのことです(https://nordot.app/773485200627613696?c=39546741839462401)。

 これって何の意味があるのでしょうか?ここでいう "実質" とは、インチキとしか解釈できません。このCO2は、東京オリ・パラがなければ、そもそも発生することがなかったわけです。それを取引によって"実質"ゼロにするって、少なくとも私にはペテンとしか思えません。

 もし、人類が本当にCO2の発生を抑制したいと考えていたのであれば、「排出量取引制度」などという発想そのものがなかったでしょう。新型コロナが示したように、自然界は人間に対して忖度(そんたく)してはくれません。排出量取引などという "まやかし" は自然界にとっては何も意味がありません。 

 では、どうすれば良いか?最も直接的な方法は、人間の活動(主に経済活動)の抑制でしょう。

 下図は日本の発電電力量の推移を示しています。仮に現在の発電量を1975年頃(4,000億kWh)と同程度に抑えられたとしたら、現在の半分以下になります。それだけでも相当量のCO2発生を抑制できます。しかし、この発想は非現実的と一蹴されるでしょう。

(https://www.nippon.com/ja/features/h00006/ から引用)

 

 今の発電量を自然エネルギー等で賄うといった発想ではなく、かなり思い切って発電量そのものを抑制する生活様式の変化を考えないと、SDGs が掲げる「持続可能な発展」は難しいのではないか、と思っています。

2021年08月02日