想定外はあり得ない

 "大雨で市役所停電 市長「想定外」"
(https://news.yahoo.co.jp/articles/8ad6bfb32714b9978150c9fdc9f99f479c08f756)
 先週8日の記録的な大雨は、千葉県、茨城県、福島県内に大きな被害をもたらしました。
 茨城県日立市では、市役所の近くを流れる川があふれ、建物内に水が入り込み、地下の電源設備が水没して、市役所が停電したとのことです。
 この件について、日立市の小川春樹市長は「災害に強いということで新設をした市役所本庁舎がですね、電源機器が水没して停電となったことは想定外の出来事でございました」と、発言しました。

 「想定外」は、東日本大震災のときに、責任逃れとして使われた言葉です。
 今回の件で、災害発生時には市の災害対策本部長となる市長がこの言葉を使ったことに、「だったら、今すぐにでも市長辞任すべきでは?」と思ってしまいました。

 下図は、日立市のホームページで公開されているハザードマップからとってきた図です。
 色のついているところが浸水想定区域です。

図)日立市の内水浸水想定区域から
(https://www.city.hitachi.lg.jp/bousai/hazardmap/map.html?lay=saigai_01# より抜粋引用)

 日立市役所は二本の川が合流する地点(これだけでもその危険性を考慮すべきです)に位置しています。
 二本の川沿いと日立市役所、市役所の東側が浸水想定区域になっています。
 当然、このことは想定内だったでしょう。

 地下に電源設備を置くこと自体は、その重さなどから止むを得ない点もあります。であるなら、どれだけの防水対策を取っていたかが問題になります。仮に大掛かりな防水対策をとっていたとしても、100%安全はあり得ません。

 また、地下の電源設備が水害時に弱いことは、2011年の福島第一原発事故でわかっていたはずです。
 近年では2019年10月の台風19号で、武蔵小杉のタワーマンションが同様の被害に見舞われて、ニュースになりました。

 このようなことから、地下の電源設備が水没する恐れを「想定外」といえるはずがありません。
 ですから、軽々に「想定外」と言ってしまった日立市の市長には、「その任に不適」と思ってしまったわけです。

 市長や知事は、災害時に災害対策本部長として、災害対策の指揮をとるといった役目があります。また、地域防災の責任者でもあります。このことをしっかりと肝に銘じてほしいです。

2023年09月11日