ごみ問題、SDGs的により効果的な施策とは?
日本において、ごみ問題に関する近年のトピックといえば、2020年7月1日からはじまったレジ袋有料化でしょう。
この施策の目的は当初、海洋プラスチックゴミの削減でしたが二転三転し、最後にはライフスタイルの変革、などという抽象的なものになってしまいました。
レジ袋は有料化されただけです。また、代替品となるエコバッグの大半は石油製品です。エコバッグは製造時に、レジ袋の何倍もの二酸化炭素(CO2)を排出します。温暖化抑止についても、さほど役に立たない施策であることが、この点だけからもわかります。
さて、いろいろな環境団体のホームページをみますと、ごみ問題について、日本はリサイクル率が低いだとか、ごみを燃焼して発電等に使うサーマルリサイクルは、欧米だとリサイクルに該当しないだとかの主張が目立ちます。
確かにその通りかもしれませんが、それよりもより環境が改善し、SDGs的にも良い施策をなぜ提案しないのか、不思議に思っています。
私が考える、そのより効果的な施策とは、開発途上国に対する国際貢献です。
下図は、世界で実施されている様々なごみ処理の方法の割合を示したものです。
この図のなかに書かれているように、途上国では、ごみをある場所にそのまま放置するオープンダンプが主流です。理由はいろいろあるでしょうが、コストが安いことが最大の理由かもしれません。
図:世界で実施されている様々なごみ処理の方法の割合
(https://ohtabookstand.com/2022/08/zukai-19-gomizero-05/ より引用)
オープンダンプサイトは、有害物質であっても分別されずに置かれます。もちろん生ごみもあります。異臭、環境汚染、伝染病などの健康被害といった様々な悪影響があります。
世界全体で3分の1もあるオープンダンプサイトを、焼却発電に変換できれば、環境汚染や健康被害は大幅に減るでしょう。また、発電により電力を供給できるので、一石二鳥です。さらに、途上国に多い石炭火力の割合を減らすことにもなるでしょう。
ただし、これまで日本がこのようなことをしているといった話を聞かないことから、この技術で国際貢献するには、解決すべき課題がたくさんあると想像されます。そうでないのであれば、政治家や官僚の怠慢です。
焼却設備の導入は、かなりの経済的負担となります。また、オープンダンプを採用している多くの国では、ごみを分別するといった意識がそもそもないのかもしれません。分別してごみを回収するとなれば、これもまた経済的な負担が生じます。
さらに、仮に焼却発電設備を作ったとしても、それを適切に運用するためには、人材育成が必要になります。
現状ではオープンダンプサイトで、健康被害のリスクを抱えながら、使えそうなごみを拾って生計を立てている人々がいます。
そうした人たちの生活改善にも、焼却発電の導入は一役買えるでしょう。焼却発電設備の導入は同時に、分別やリサイクルを促進することでもあります。この分野で、新たな雇用を生み出すことができると考えます。
理想論かもしれませんが、オープンダンプの解消は、日本がチャレンジすべき国際貢献である、と考えます。
伊藤信太郎環境大臣が、就任会見で環境とエネルギーの問題を同時解決できる「電気の次のエネルギー」に言及し、「発見できると思う」と力説した、とのことです。
"環境相「電気の次」の有望エネ? 省内「ファンタジー」と困惑"(2023/9/24 共同通信)
(https://nordot.app/1078590474091725219)
そんなファンタジー(空想)を語る前に、環境大臣として、ここで提案しているようなことを関係省庁に働きかけてほしいものです。