ALPS処理水、反対論者の言い分

 9月3日に行われた社会調査研究センターによる世論調査では、福島第一原発から出たALPS処理水の海洋放出について尋ねたところ、「問題はあるが、やむをえない」が54%、「妥当だ」が29%で、合わせて83%が容認しているとの結果になりました。一方、「放出はやめるべきだ」は10%でした。
(https://mainichi.jp/articles/20230904/k00/00m/040/140000c)

 たとえ基準値以下だとしても、自然な状態よりも海水中の放射性物質が増えるわけですから、将来的にどのような影響が出るのかまでは「わからない」と言えるでしょう。

 しかし、一部の反対論者の言い分は、常軌を逸しているようにも思えます。
 "「トリチウム以外も公表の必要…」社民・大椿裕子議員の投稿はミスリード。処理水めぐる発信で" 2023年09月25日
(https://www.huffingtonpost.jp/entry/fukushima-fc4_jp_650d6724e4b04db03fdc0db3)
 この記事にもあるように、トリチウム以外の核種についても、東電や国はホームページで公開しています。
 現職の国会議員が、事実関係を調べもせずに公言したとしたなら、余りにも軽率です。また、わざと誤情報を流したのであれば、かなり悪質です。

 "田嶋陽子氏「(処理水の)安全基準満たされてない」→誤り。テレビ番組で、魚の形態変わるんじゃないかとコメントも" 2023年09月25日
(https://www.huffingtonpost.jp/entry/fukushimafc5_jp_651101e7e4b0e83)
 元国会議員、元大学教授が、何を根拠に「安全基準満たされてない」などと誤った発言をしたのか?理解できません。
 また、こうした世間に誤解を招く発言を放映したテレビ局にも大いに問題があります。

 こうした反対論者を非難する動きに対し、フリージャーナリストの志葉玲氏は、
 「海洋放出に疑問を呈する日本国内の著名人や野党政治家などを吊し上げにするような記事が、連日のように掲載されている。こうした記事には「ファクトチェック」と称したものもあるが、その「ファクト(事実)」は矮小化され、あくまで政府や東電の主張を踏襲するだけのものであり、いわゆる「処理水」の海洋放出の構造的な問題への批判的分析が無い報道は、より「大きな嘘」を支えてすらいるのではないか。」と意見を述べています。
(https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/415a0abe71ecf7c1de72e1476178be680e36fde1)

 トリチウム以外も公表されているのは事実です。また、処理水が安全(とされる)基準を満たしているのも事実です。これはデータによる裏付けがあります。
 であるのに、志葉玲氏は何を根拠に「あくまで政府や東電の主張を踏襲するだけのものであり」と言っているのかわかりません。

 一方、「批判的分析が無い報道」になっている点は、確かに問題があると思います。ただし、その批判的分析も賛成論同様に、データによる裏付けや、憶測ではない客観的な事実であることが求められます。

 反対論者の方々については、客観的な事実から論理的な説明をして欲しいと思います。

2023年10月02日