高齢者住宅の耐震化を進めるには
過日のNHKニュースで、能登半島地震の被災者を対象にしたアンケート調査の結果、自宅の耐震工事をしなかったとの回答が 7割以上だった、との報道がありました。
"能登半島地震の被災者 “自宅の耐震工事せず”7割以上"(2024年4月2日 5時24分)
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240402/k10014409711000.html)
また、「どのような災害で自宅が被害を受けると思っていたか」については、「被害を受けると思っていなかった」が45%と最も多い回答でした。
能登半島では、2007年3月25日にマグニチュード6.9 の地震が発生しています。この地震では輪島市、七尾市、穴水町で震度6強を記録しています。(石川県地域防災計画 地震災害対策編 より)
この地震で倒壊しなかったことや、しばらくは、もしくは、自分が生きているうちには大きな地震はもう来ないだろう、といった意識が「被害を受けると思っていなかった: 45%」 の背景にあるのではないかと推測します。
住宅の耐震化がなぜ進まないのか?について、他の記事では「耐震化していない住宅の7割が高齢者」といったことを伝えています。
"死因の8割が“家屋倒壊” なぜ進まない?住宅の耐震化"(2024年3月13日 11時50分)
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240313/k10014385831000.html)
この記事では、いち早く住宅の耐震化に取り組んできた静岡県で、その課題を探っています。
耐震工事には通常、数百万円の費用がかかります。高齢で家を継ぐ人もいない、となれば、来るか来ないかわからない大地震のために大金を使うのをためらうのは当然かと思います。
なかには、高齢が故に大地震に見舞われ家が倒壊したならそれまで、とあきらめの境地に至っている人もいるかもしれません。
高齢者住宅の耐震化の問題は、能登地方に限ったことではありません。多くの地方が同様の問題を抱えていることでしょう。
高齢者住宅の耐震化を進めるには、別居している家族による説得も一定の効果があるでしょう。また、行政による補助金制度の周知や拡充も必要です。さらに個別の相談で、耐震補強工事よりも安価な耐震シェルターや防災ベッドを紹介するなど、個々の事情に沿った対応が求められます。