報道の自由度が低い日本で注意すべきこと

 国際NGO「国境なき記者団」が発表した2024年の「報道の自由度ランキング」で、日本は調査対象の180カ国・地域のうち70位と、前年の68位よりも2つランクを下げました。主要7カ国(G7)の中で最下位です。

 この件に関連して、古賀茂明氏が日本のマスコミが権力に弱い理由を指摘しています。
(https://dot.asahi.com/articles/-/222279?page=1)
1. 大手メディアの記者はジャーナリストである前に会社員
2. 記者クラブの存在
3. 取材先の機嫌を取ることで情報を得ているため、取材先の広報と化している
4. 大手メディアの記者は高給取りで、自らの特権を守ろうとする既得権益者
5. 再販制度と消費税軽減税率という利権
6. 政府がテレビ局の放送内容を直接規制(放送法、電波法)
7. 権力にすり寄るモラルの低い経営陣
8. 低モラルな経営陣による報道現場への介入
9. スポンサーやプロダクションへの忖度が蔓延
10. 与党から巨額の宣伝広告費が流れている広告代理店への依存

 上記の指摘から見えてくるのは、日本の報道は自由度が低いのと同時に、報道内容が政権与党寄り、スポンサー寄り、プロダクション(例:旧ジャニーズ)寄りになっているということです。

 この点について、泉房穂氏(兵庫県明石市前市長)が鋭い指摘をしています。
"泉房穂氏 政治資金規正法改正の与党案に言及「国民よ、与党にベッタリのマスコミに騙されてはいけない!」"(2024年5月10日 08:00)
(https://www.sponichi.co.jp/society/news/2024/05/10/kiji/20240510s00042000171000c.html)

 この記事は泉氏のSNSを引用した、いわゆるコタツ記事です。

 また、泉氏はテレビ番組でもテレビ局の姿勢を批判しています。
"泉房穂氏が「ポスト岸田」巡る”小石河陽子”の声にぴしゃり「国民世論とテレビ局がズレてる」"(2024年4月30日21時21分)
(https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202404300001773.html)

 これもまたコタツ記事ですが、泉氏は「まあ、まあ、テレビ局がすぐにそう言ってるから、国民世論はすでに政権存続じゃなくて、政権交代ですから」と話して「ポイントはポスト岸田じゃなくて、ポスト古い政治、ポスト金まみれの裏金政治、ポスト国民負担増からの転換だと思うんですよ。国民世論とテレビ局がズレてると思いますね」と声を張り上げ「この時点で”小石河陽子”なんて言うからみんなが勘違いする」と声をからした、とあります。

 忖度しない泉氏がいつまでワイドショーに出られるのか不安になってしまいますが、このように指摘されなければ、この番組を見ていた人の何人かは、テレビ局が意図した番組作り(ポスト岸田)に流されてしまったかもしれません。

 古賀氏が指摘した権力に弱い日本のマスコミの本質を、マスコミ自身が取り上げることはないでしょう。

 ですから、マスコミの本質を知らずに、新聞やテレビ報道に接していると、政権与党寄り、スポンサー寄り、プロダクション寄りの情報にしか触れないことになってしまいます。もちろん、批判的な報道もありますが、喉元過ぎれば・・・で、少し経てば報道しなくなります。こうした批判報道は、単なるガス抜きと考えた方がよいです。

 情報の受け手である私たちは、新聞やテレビといったマスコミ報道は、世間をある方向に誘導するように作られていることを常に意識する必要があります。また、ネットからも情報を得て、マスコミとは異なる視点、マスコミが報道しない情報にも注意を払うべきです。

2024年05月15日