地震前兆?に関心を持つことの是非

 4月24日付のブログ "豊後水道の地震で前兆は?" では、高知県が地下水の異常や動物の異常行動などの情報を住民から募っていることを紹介しました。

 地震前兆かもしれない異常現象の報告は、SNS上で盛んに行われています。
 私の知る範囲では、地震雲に関する投稿が多いように思えます。ただし、地震の前兆かも知れないとする雲は、日本のどこかで、ほぼ毎日出現しています。

 毎日のように「危ない」と言っていれば、地震大国の日本では、必ずどこかで地震が発生します。
 この地震雲を「防災意識を高める」といった視点で見た場合、普段やらない防災対策の見直しなどを促す情報としては、ほぼ毎日ですから、適当ではありません。

 なお、地震雲という名の気象学上の雲はありません。あえて言うなら、地震雲とは「地震の前に現れるとされる特徴的な雲の通称だが、その定義はあいまいである」といったところでしょうか。

 さて、気象庁ホームページには人的被害を伴った地震が掲載されています。
(https://www.data.jma.go.jp/eqev/data/higai/higai1996-new.html)
 これを見ると、例えば、2014年から2023年までの10年間に記録された人的被害を伴った地震は51回になります。そのうち、死者が出てしまった地震は6回です。

 おおよそで考えるなら、人的被害を伴った地震は2ヶ月に1回程度、死者が出てしまった地震は2年に1回程度になります。

 2年に1回ですと、1年に1回ある防災の日よりも頻度が低くなってしまいます。
 一方、2ヶ月に1回程度であれば、防災対策の確認もさほど負担にはならないのではないでしょうか。

 被害地震が発生したことをきっかけに、自分の防災対策を今一度見直せば防災力は高まります。

 このように考えると、たとえ動物の異常行動であっても、年に数回起こるようなことであれば、それを契機に防災対策を見直すことは決して悪いことではないのかもしれません。

 ただし、注意事項があります。あくまで自分のことに留め置くことです。決してSNSなどで広めないでください。なぜなら、その異常現象が大地震の前兆かどうかはわからないからです。全く関係ない可能性もあります。
 ですから、あくまで「自分の」防災対策の確認に留め置くのです。 

2024年05月01日