豊後水道で起きた地震の先行異常か?
4月17日23時14分頃に発生した豊後水道を震源とする地震(暫定マグニチュード6.6)について、前兆かもしれない現象の有無を高知県が収集する宏観異常現象証言から調べようとしましたが、集計は3月まででした。現時点でも4月の集計は公表されていませんでした。
そこで、今度は産業技術総合研究所が公開している Well Web (地震に関連する地下水観測データベース) を調べてみました。
(https://gbank.gsj.jp/wellweb/GSJ/index.shtml)
"地下水・歪データ表示" をクリックすると、西日本を中心とした地図が示されます。
観測点が赤丸で示されています。震源に最も近い N11 観測点をクリックします。
これにより、四国5(西予宇和)観測点の気圧・雨量・水位・歪のデータを見ることができます。
目を引いたのが歪データです。以下にそのグラフを示します。
図1: 西予宇和の歪データ(3ヶ月間)
(https://gbank.gsj.jp/wellweb/cgi-bin/imageout.pl?lang=j&id=17&no=2 より)
図の右側にある欠測は、ホームページのコメントにあるように「2024年4月24~25日の西予宇和歪4成分は保守の影響」です。その少し左側の階段上の変化は、4月17日の地震動による影響と考えられます。
注目したのはその前の変化です。特に一番上の黒色の歪データは、地震発生の一週間程前から、それまでの変化の傾向(トレンド)が明らかに変わっています。
上向き(伸び?)の変化率が上昇し、地震発生前には元に戻っているように見えます。
このような変化が他の期間にあったのか?それを確認するため、2年間のプロットを見てみました(下図)。
図2: 西予宇和の歪データ(2年間)
(https://gbank.gsj.jp/wellweb/cgi-bin/imageout.pl?lang=j&id=17&no=1 より)
2年間のデータで見た場合でも、特に一番上の黒色の歪データは、地震前にトレンドが変わっていたことがハッキリとわかります。
これが、4月17日の地震の先行異常と言えるのか?非常に気になりますが、現段階で明確なことは言えません。
産業技術総合研究所地質調査総合センター 活断層・火山研究部門のホームページでは、"地震前後の地下水等変化の例と過去の通常時の地下水等観測データ" が公開されているので、公式な見解を待つとします。