温暖化と二酸化炭素
前回(9月21日)のブログでIPCCによる「人間が地球の気候を温暖化させてきたことに "疑う余地がない"」といった報告の話をしました。
地球温暖化の主な原因としてあげられるのが温室効果ガス、特に二酸化炭素(CO2)です。図1は過去42万年間の二酸化炭素濃度(緑)と世界の気温(赤)と海水面のレベル(青)の変動を示したものです。
図1
https://johnenglander.net/420000-years-temp-co2-and-sea-level-what-coincidence/
これを見ると、二酸化炭素と気温との間には高い正の相関があるようです。しかし、近年に限っていうと、二酸化炭素濃度の急激な上昇に気温の上昇が追いついていないように見えます(赤丸で示したところ)。
図2上は、過去1万年間の二酸化炭素濃度の変動を示しています。近年の急激な上昇がここでも見られます。これと気温の変動とを比較してみます。図2下は1961~1990年平均値からの気温の偏差を表しています。近年の急激な上昇は二酸化炭素と同じですが、過去1万年前から4,000年前ぐらいの間は平均値よりも気温が高かい状態でした。
図2(下図の赤縦線が1万年前)
上)https://shigurechan.com/nature/the-rise-of-co2-concentration-is-the-highest-in-history
下)https://wired.jp/2013/03/12/hockey-stick/
比較のため、別の過去の気温変化を示します(図3)。この図は図2下ほど過去1万年前〜4000年前ぐらいの高温が顕著ではありませんが、やはり現在よりは高温だったことを示しています。
図3(図中の赤縦線が1万年前)
https://ja.wikipedia.org/wiki/過去の気温変化
しかし、図2上の二酸化炭素には、これに対応する過去1万年前〜4000年前ぐらいの高濃度の変動が見られません。過去42万年間では見られた二酸化炭素と気温の相関が、過去1万年間では見られません。図2は図1はの横軸(時間)を単純に拡大したものではありません(別データ)が、対象とする時間幅を変えると二酸化炭素と気温との関係が違って見えてきます。
地球を温暖化させる原因は二酸化炭素による温室効果だけではありません。二酸化炭素の排出を削減できれば現在の温暖化問題が解決する、と考えるのは問題がありそうです。