温暖化対策(CO2削減)の成果を検証
現在の地球温暖化は、人為的に排出される温室効果ガスによるもので、なかでも二酸化炭素(CO2)が、その主たる原因とされています。
この温暖化を何とか食い止めようと、1985年に国連環境計画(UNEP)が対策を開始すべきと警鐘を鳴らしました。これにより、世界的な温暖化対策が始まりました。そして、1997年には京都議定書が採択され、CO2をはじめとする温室効果ガスの削減行動が初めて義務化されました。
では、CO2削減対策として、これまで何がなされてきたのでしょうか。
大別すると、ひとつはCO2の排出抑制です。化石燃料による発電から、太陽光や風力などの再生可能エネルギーによる発電へ、または、同じ化石燃料でも、石炭火力からCO2排出量がより少ない天然ガスへの移行です。
もうひとつは、大気中のCO2の固定です。具体的には植樹や森林保護により、CO2を樹木に固定させることです(正確には炭素の固定)。さらに、CO2を人工的に回収して地下に閉じ込める、といったことも一部で行われています。
個人レベルでいうなら、節電や節水など省エネルギー、自家用車より公共交通機関や自転車の利用などによるCO2排出抑制です。
そして、このような努力を、国レベル、個人レベルで実施してきた結果が以下になります。
図:ハワイのマウナロアで観測されている大気中のCO2濃度
(https://gml.noaa.gov/webdata/ccgg/trends/co2_data_mlo.png に加筆)
このグラフはハワイのマウナロアで観測されている大気中のCO2濃度で、1958年から2024年までのデータになります。この観測所は世界で最も古くから大気中のCO2濃度をモニタリングしています。
このグラフを見ると、1985年頃から始まった様々なCO2排出削減の取り組みにも関わらず、大気中のCO2濃度は上昇し続けています。
それだけではありません。図中に書き加えた青線を見てください。これは、1985年から1997年のCO2濃度上昇トレンドを表しています。
直近の2012年から2024年までの上昇トレンドのほうが傾きが大きい、つまり、今のほうが対策をはじめた頃よりも速くCO2濃度が上昇しているのです。これが現実です。
この結果が示していることは、1985年頃から世界的に取り組んできたCO2排出削減策は何の成果もあげていないどころか、事態を悪化させている、ということです。
本当に大気中のCO2を削減したいのであれば、まずはこの現実を直視することです。