南海トラフ地震より北海道東方沖が先?

 日本地震予知学会第11回学術講演会では、静岡県立大学特任教授の楠城一嘉氏から "Likelihood and unlikelihood of megaquake recurrence implied by earthquake size-distribution off the Japanese Pacific coast" というタイトルでの発表がありました。

 簡単に言えば、北海道東方沖における地震活動の静穏化が続いていて、場合によったらマグニチュード9クラスの超巨大地震が発生する危険性が今も継続している、ということです。

 実は、2008年ごろから北海道東方沖が次の巨大地震の準備段階にあることは、2018年の日本地震学会秋季大会における公益財団法人地震予知総合研究振興会の松浦律子氏の発表で知っていました。
 今回の楠城特任教授の発表では、その状態が今も継続中で、マグニチュード9クラスにもなり得る可能性が示唆されました。
 さて、政府筋の発表といえる地震本部のホームページには、超巨大地震(17世紀型)として、評価対象領域が根室沖を含む可能性が高い十勝沖から択捉島沖で、マグニチュード8.8程度以上の地震が発生する可能性を示しています。
(https://www.jishin.go.jp/main/chousa/kaikou_pdf/chishima3.pdf)

 国もマグニチュード8.8程度以上の地震が起こり得ることを発表しています。8.8程度以上というあいまいな表現は、過去の活動がはっきりわかっていないためです。

 北海道東方沖は巨大地震発生の兆候といえる静穏化が、科学的な調査からハッキリしています。一方、南海トラフ地震については、今のところ、このように明瞭な兆候は見られません。

 であるなら、政府は北海道東方沖でマグニチュード8.8程度以上の地震が近い将来に起こることを想定して、早急に防災・減災対策を打ち出すべきです。南海トラフ地震対策よりも優先して北海道東方沖の地震に対する予算措置をすべきと考えます。
 マスコミも南海トラフのことはしきりに取り上げますが、北海道東方沖のことはあまり取り上げません。

 能登半島地震が予備費対応とされたのは、能登半島が過疎地だから、などと言われることがあります。どこに住んでいても日本人の命は等しいはずです。しかし、政府与党はそのように考えていないのかもしれません。
 北海道の十勝〜根室地方も東海〜近畿地方に比べれば過疎で、政府与党はそれほど重要視していないのか、と勘ぐってっしまいます。

 国会議員(特に北海道選出)の皆様へ、道民の命を守るために動いてください。
 国民の生命と財産を守ることが、国会議員の使命です。

2024年12月30日