CO2排出量がむしろ加速している理由
1985年頃からの世界的な努力にもかかわらず、2025年1月11日付の本ブログ「温暖化対策(CO2削減)の成果を検証」に示したように、CO2排出量は抑制されるどころか、むしろ増加のスピードが速くなっています。
なぜでしょうか?
それは、今まで正しいと思ってやってきた取り組みが誤っていたからです。
典型的な誤りが電気自動車(EV)への早急な移行です。
EVは走行時にCO2を排出しません。そのことから環境に良いとされてきました。しかし、EVは生産過程でガソリン車よりも多くのCO2を排出しているといった調査結果があります。これは、EVを推進している自動車メーカーのVolvoが示したものです。(参照:2022年06月21日付本ブログ「電気自動車はSDGs的にアリか? - CO2排出量から - (2)」)
生産課程におけるCO2排出量が多いということは、単年度で見た場合、ガソリン車に代わってEVを作れば作るほど、ガソリン車だけを製造したときよりもCO2を多く排出してしまうということです。
そして、EVが4万9千キロメートルから11万キロメートル走った時点で、CO2の総排出量がガソリン車と同等になる、とこのレポートは試算しています。走行距離の開きは、発電方法の違いによるものです。
下図は1985年から2023年までの世界における電源別の発電量を示しています。

図:世界における電源別の発電量
(https://www.renewable-ei.org/statistics/international/)
この図を見ると、自然エネルギー(再生可能エネルギー)が年々増加し、近年は加速度的に増加していることがわかります。一方、石炭とガスも増加しています。
1985年から2023年までの38年間で、自然エネルギーは約4.4倍増えているのに対し、石炭2.8倍、ガス4.7倍と、化石燃料による発電も増加しています。
化石燃料から自然エネルギーへの移行といった取り組みは、「絵に描いた餅」だったということです。
要は、際限なく発電量を増やすのではなく、総発電量を一定にして、化石燃料の割合を減らし自然エネルギーの割合を増やさないことには、CO2排出は抑制できないということです。