核ごみ最終処分場を北方四島に!?
耳を疑うようなニュースがありました。
"核ごみ最終処分場 説明会参加者が北方四島に建設提案 経産省幹部「魅力的な提案」、取材に陳謝" 2025年1月28日 16:30(1月29日 6:56更新) 北海道新聞
(https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1116342/)
記事によれば、国と原子力発電環境整備機構(NUMO)が東京都内で開催した説明会で、「北方四島に最終処分場を建設しては」との出席者の意見に対して経済産業省幹部が「実現するのであれば魅力的な提案だ」と発言し、NUMO幹部も「一石三鳥四鳥」などと話した、とのことです。
北方四島は日本固有の領土ですが、現在はロシアに実効支配されています。日本人が自由に使うことができない土地です。
NUMO幹部の「一石三鳥四鳥」といった発言は、おそらく本音でしょう。都市部から遠く離れ、日本人もいません。そんな日本の領土に最終処分場ができれば、反対する人も少ないと考えたのでしょう。
そして、このNUMO幹部の発言からは、長期にわたる安全性などはどうでもよい、といった本音も推察されます。
地層処分に相応しいか否かを示した「科学的特性マップ」には、確かに北方四島も含まれています。歯舞群島と色丹島は大半が「輸送面でも好ましい」適地(相対的な最適地)となっています。
(https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/nuclear/rw/kagakutekitokuseimap/)
しかし、処分地を決めるには、文献調査、概要調査、精密調査の3段階の調査を経なければなりません。
こうした安全性の調査をすっ飛ばした(無視した)NUMO幹部の「一石三鳥四鳥」発言は、決まりさえすれば良い、言い換えるなら、安全性の調査などどうでもよい、と言っているようにも聞こえます。
原子力発電は発電時に二酸化炭素を出さないから、といった理由で原発を推進しようとしている人たちがいます。
しかし、核ごみ最終処分場はいまだに決まっていません。推進派の方々は今さえ良ければよいと、最終処分場問題を無視して原発推進を主張しています。(その他、プルトニウムの問題や核燃料サイクルの問題などもあります。これらに対しても無視しています。)
はたして、地震や火山活動が活発な新期造山帯の日本で、地震や火山活動がほとんどない安定陸塊の北欧と同様に、地層処分を考えることが正しいのでしょうか。私は誤っていると思います。
高レベル放射性廃棄物を地層処分する、といった法律を一旦破棄し、問題が生じた際に対応できる地表や半地下での保管も含め、初めから再度議論すべきと考えます。