南海トラフの見直しは研究者の都合か?
昨日私が見たテレビニュースでは、南海トラフ巨大地震の発生確率が80%から60%〜90%に変更された、と報道されていました。
2024年12月05日付ブログ『日本の地震防災を問う(1) 南海トラフ地震の発生確率は変更すべきか?』でも示した、他の地震と同じ算定方法による発生確率には触れていませんでした。
ところが、ネット検索しますと、そのことにもちゃんと触れている報道もありました。
"南海トラフ巨大地震 30年以内発生確率 2つの確率を新たに算出" 2025年9月26日 19時58分
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250926/k10014932871000.html)
"南海トラフ確率「20~50%」「60~90%超」異例の併記で発表" 竹野内崇宏 2025年9月26日 17時00分
(https://www.asahi.com/articles/AST9T417DT9TUTFL002M.html)
今後30年以内の発生確率が「60%から90%程度以上」に変更されたという内容は、南海トラフだけの特別な算出方法に関することで、他の地震同様の手法による変更後の発生確率は「20%から50%」です。
新たな研究結果を反映させた点は評価できます。しかし、一般市民からしたら実にわかりにくい表現、と言わざるを得ないでしょう。
今回の確率見直しと2つの確率併記は、より科学的な表現にしたいという、研究者側の都合ではないかと考えます。
60%〜90%超や20%〜50%のように、確率に幅をもたせたこと、そして、2つの算出方法による確率を併記したことによって、一般市民への注意喚起が高まることは期待できないでしょう。
以前も述べましたが、個人的には、発生確率が低いところで地震が発生したことも事実としてあるので、発生確率による注意喚起、特に地震ハザードマップは廃止すべき、と考えます。
「確率が高いと危険」は、裏返しで「確率が低ければ安全」と捉えられかねません。
起こる可能性があると分かっている活断層等について、最悪の被害想定の内容がいつ起きてもおかしくないと考えて備えるように、と注意喚起すべきです。