カムチャツカの地震とクジラの座礁

 7月30日午前8時25分頃、ロシア極東のカムチャツカ半島付近でマグニチュード8.7の地震が発生し、日本にも津波が到達しました。
(https://earthquake.tenki.jp/bousai/earthquake/detail/2025/07/30/2025-07-30-08-28-07.html)

 一方、この地震発生の約半日前となる29日午後6時半頃、千葉県館山市の平砂浦海岸では、浅瀬に打ち上げられたマッコウクジラ4頭が発見されました。
 "千葉 館山 クジラ4頭海岸に打ち上げられる “津波と関連なし”" 2025年7月30日 20時41分
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250730/k10014879211000.html)

 そして、カムチャツカ半島の地震との関連が一時的に話題になったようです。
 "千葉でクジラ4頭が座礁 29日に 研究では「地震と相関関係なし」" 毎日新聞 2025/7/30 17:14(最終更新 7/30 17:15)
(https://mainichi.jp/articles/20250730/k00/00m/040/216000c)
 ちなみに、記事にある「東海大の研究チームが18年の日本地震学会で発表した分析結果」は、我々が発表したものです。

 "【なるほどッ!】クジラ集団漂着 地震との関連は?"
(https://www.youtube.com/watch?v=ZYUUoaW4U3E)
の動画では、千葉県に打ち上がったクジラ4頭の映像を見て、出演者が「びっくりした」、「不自然」と話していました。
 続いて、鯨類の専門家が鯨やイルカの座礁は1日1件ほどある、と話したら「へぇ」(そうなんだ)といった反応をしていました。

 このやり取りからは、鯨類の座礁はほぼ毎日日本のどこかで起きているという事実を知らないことから、そのニュースに触れ、「びっくりした」や「不自然」などの反応になったと推測されます。

 続いてこの動画では、国立科学博物館の田島木綿子研究主幹が、千葉県でのマッコウクジラ集団座礁は珍しい、と言っていました。

 国立科学博物館HPにあるストランディングデータベースを調べると、マッコウクジラが2頭以上で同時に座礁する集団座礁は、以下になります。

 1942/10/19 鹿児島県大島郡龍郷町円 13頭
 2002/01/22 鹿児島県川辺郡大浦町小湊海岸 14頭
 2011/01/08 鹿児島県南さつま市大浦干拓 2頭
 2011/01/26 鹿児島南さつま市小湊漁港地先 3頭
 2018/11/23 北海道国後島南部クリル自然保護区(根室海峡) 2頭
 2019/02/21 鹿児島県南さつま市笠沙町片浦小浦 2頭

 このデータベースによれば、千葉県でのマッコウクジラ集団座礁は、今回が初めてのことになります。

 また、田島木綿子研究主幹によれば、マッコウクジラは超音波で周りを探索していることから、「過去の例を参考にすると今回の座礁は、地震との関連を現段階で完全に否定はできない」とのことでした。

 過去の例が何を指しているのかは不明ですが、そもそも地震との関連を完全に否定することは、いわゆる悪魔の証明で非常に困難なことです。
 仮に解剖の結果、寄生虫による影響と結論づけられたとしても、その寄生虫が地震の前兆による何らかの力によるものではないか、といわれたら、それを完全に否定することは難しいのではないでしょうか。

 上記の記録をみると、マッコウクジラの集団座礁は鹿児島県に集中していることがわかります。
 まずはこの事実に着目して、その原因を探るのがよいかもしれません。

2025年08月02日