御坊市で震度5弱、市庁舎の耐震化は?

 12月3日午前9時半ごろ、紀伊水道を震源地とするマグニチュード5.4の地震が発生しました。震源に近い和歌山県御坊市では震度5弱を観測し、市庁舎の窓ガラスが割れるなどの被害がありました。
 御坊市庁舎は、2010年の耐震調査で震度6以上の地震で倒壊する恐れがあると診断されました。現在、新市庁舎を今の市役所のすぐ隣にある土地に建設中とのことです。

 市役所や町村役場は地震などによる災害が発生すると、通常はその対策本部が置かれる場所になります。災害時、市役所や町村役場は住民への対応窓口になるため、非常に重要な役割を担うことになります。しかし、その庁舎が被害にあい、災害対応に支障をきたした事例は過去にもありました。
 ところが、こうした市町村の庁舎耐震化や建て替えなどが後回しになってしまっていたケースを私も直接目にしたことがあります。
 東日本大震災以前のことです。ある東北地方の市へ視察に行った際、市庁舎が非常に古かったので、耐震化のことを質問しました。すると「市民からは市役所より先にやることがあるだろう、と言われる」といった返答をいただきました。

 市町村の庁舎があまりに立派すぎるのも問題がありますが、災害時のことを考えると、耐震化や建て替えを優先することも必要かと思います。庁舎が洪水や津波の浸水域内にある場合は、より安全な場所への移動も可能ならば考えるべきでしょう。
 住民感情を汲み取りつつも、必要な耐震化や建て替えなどは優先されるべきであり、そのことを住民に理解してもらう努力が地方行政には求められます。

2021年12月06日