日本地震予知学会の学術講演会に参加

 12月25日(土)に日本地震予知学会の第8回学術講演会が、会場とリモートの合わせた方式で実施されました。
 私は「これからの地震予知研究に関する一考察」といったタイトルで発表しました。昨年はコロナの影響もあり、自分の研究を進めることがほとんどできませんでした。そこで、今回の発表では地震予知研究のあり方について、自らの過去の研究結果も踏まえて、今一度考え直してみました。
 理化学研究所在籍時、地震に先行する地電位差異常シグナルを見つけて予知ができるようになると期待をもって研究を進めていましたが、話はそう簡単ではありませんでした。確かにポジティブな結果もあります。例えば、伊豆諸島の神津島では地電位差異常と島近傍で発生した地震との関連性が示唆されました。ただし、マグニチュード3といった小さな地震も含まれたものでした。警戒宣言が出せるレベルの実用的な予知に使えるものではありませんでした。また、昔からの言い伝えとされていた地震前の深海魚出現については、むしろ両者の関連性を否定するような結果となりました。
 こうした実用的予知には役立たない結果、ネガティブな結果は研究者としては好ましくないものです。ですから、自説に都合のいい結果のみを見せて、あたかも予知できるかのように振る舞う人もいます。しかし、そのような行為はゆくゆくは自らの、そして予知研究のコミュニティ全体に悪影響を及ぼすことになります。一方、ネガティブな結果であっても、それを研究成果として示すことは、研究者だけでなく予知研究コミュニティ全体の信頼につながるものになるでしょう。

 地震前兆現象の候補を消す作業も大切なことである、とあらためて思った次第です。

2021年12月28日