地震予知研究のあり方 (2)

 地震予知の前提には「地震は自らの大きさを(発生する前から)知っている」といった仮定があります。でなければ、地震予知の三要素のひとつ「どの程度の大きさ」を示すことはできません。先行現象の強度や、その現象がどの程度の範囲まで観測されたかで「どの程度の大きさ」の地震になるかを見積もろうといった考え方です。
 地震は震源付近の揺れが大きく、それが四方へ減衰しながら伝わっていきます。大きな地震ほど震源付近の揺れが大きく、遠くまで揺れが伝わっていきます。先行現象も同様に、震源付近ではその強さなどが大きく、震源から離れるほど弱くなるといった考え方です。こうした先行現象を観測することにより、「どこで」「どの程度の大きさ」の地震が発生するのかを言い当てることができる、といった仮説です。「いつ」については経験的に見積もるか、あるモデルから見積もるかになります。

 しかし、「地震は自らの大きさを(発生する前から)知っている」については、それを否定する研究結果があります。例えば、地震の揺れのはじまりを細かく観測してみても、小さな地震と大きな地震に違いがないといったことです。最初の破壊が大きいから大地震になるわけでないということです。
 もうひとつ、揺れ始めた場所(破壊が始まった場所)と最も大きく揺れた場所(最も大きく破壊された場所)とが一致しないといった観測結果です。地震がどこまで成長するのかは発生してみなければわからないということです。

 これに対しては、小さな破壊が次から次へと連鎖して大きな破壊、大地震に成長するためには、その場所が広範囲にわたっていつでも壊れる状態にある、と考えることができます。こうした広範囲にスタンバイな状態であるときに見られる特有の現象を見いだすことができれば、大地震の予知に一歩近つくことになるでしょう。
 しかし、それを見いだせていないのが、今の地震予知研究の現状です。

2022年01月04日