民間の地震予測の結果は?

 前回取り上げた地震予測の記事では、日本の約3分の2を占める面積を5つのエリアに分けて警戒ゾーンとしていました。そのうちの1つ東北警戒ゾーンで最大震度5強の地震(M6.8)が5月1日に発生しました。

 この地震をもって「予測的中!」とこの予測情報を好意的に捉えているネット上の書き込みがありました。では、外れた予測はなかったのでしょうか?5つのゾーンのうちの1つでは確かに当該の地震がありましたが、残り4つのゾーンではありませんでした。また、地震があった東北地方はもともと地震が多く、今年に入ってやや大きな地震が続いていました。
 2月13日には福島県沖(M7.3,最大震度6強)
 3月20日には宮城県沖(M6.9,最大震度5強)
このような事実を考慮するなら、この的中は偶然だった可能性も考えられます。

 それよりも注目していただきたい点は、外れた予測がどれだけあったか?です。今回の予測では5つのゾーンのうち4つは外れです。また、この予測では危険度を5段階で示しており、危険度1位と2位では地震はなく、危険度3位のゾーンでのみ地震がありました。

 この予測的中が偶然レベルなのかどうかは精査する必要があります。ただ問題なのは、この予測情報会社がデータを開示していないことです。以前、拙著のなかで「お金を出して買っている人たちが求めているのは将来の情報についてであり、過去の情報は価値がないのだから公開できる」旨を述べました。事実、過去の予測情報を一部開示している予測会社もあります。本当に地震予測を人命救助のために役立てたいと考えているなら、是非とも科学的な検証が可能な過去の情報を開示していただきたいものです。

2021年05月10日