人工地震や地震兵器を信じてしまう心理
先週3月16日に発生した福島県沖を震源とする地震(マグニチュード7.4)について、SNS上では「人工地震だ」という投稿があり、ツイッターでも一時トレンド入りしたとのことです。
これに関して、NHKが専門家に聞いて人工地震を否定する記事を出しました。
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220317/k10013538631000.html)
もしかしたらNHKが記事にするほど、近年では「人工地震」や「地震兵器」といったオカルト情報がSNSを賑わしているのかもしれません。
この地震の後に「地震雲」に関するツイッターの書き込みを見ると、やはり急増していました。大きな地震の後に書き込みが急増する傾向はいつものことです。ここでは「地震雲はありません」と否定する書き込みも急増しており、オカルト論の火消しが行われます。
今回のNHKの記事はおそらくSNS上の火消しに役立ったでしょう。
しかし、ちょっと考えれば荒唐無稽だとわかるトンデモ説をなぜ信じてしまうのでしょうか。
これについては、"人工地震を信じる人々が映す「陰謀論」深刻な浸透 「情報の民主化」は「偽情報の民主化」でもある" (https://toyokeizai.net/articles/-/540520)に書かれていることが参考になります。
わたしたちにはあらゆる現象の背後に行為の主体を見つけようとする心性が備わっているとのことです。例えば、木の枝が折れていたり、物陰から音がしたりといった周囲の環境の変化に、敵や捕食者などの知的な行為者の存在を直観することで、それが勘違いであったとしても生存戦略として有効だったために強く機能しているというのです。
これは人類が進化の過程で獲得した認知バイアス一つといえるでしょう。
このような心理そのものを消し去ることはできません。しかし、そうした心理が人間には働くということを認識できれば、トンデモ説を安易に受け入れる防波堤になるかもしれません。