予測的中を宣伝する記事

 4月30日のYahoo!ニュースに "4月19日の福島県地震が的中…「麒麟地震研究所」が捉えた「M8超」級の前兆ノイズ" といったタイトルの週刊誌記事が掲載されていました。
 元の記事は SmartFLASH (https://smart-flash.jp/sociopolitics/180146) になります。

 年に数回、いくつかの週刊誌が「地震の予測的中!」と銘打った記事を掲載し、それがネットにも流れます。
 結論から言えば、こうした記事はすべて煽り記事のたぐい、もしくは有料地震予測情報を読者に買わせるための宣伝記事に過ぎません。

 本当に地震との関連が示唆される先行現象であるなら、それは査読付き学術論文で発表されるべきものです。
 発表する場所が学術論文や日本地震学会などではなく週刊誌であることから、「安易に信用すべき情報ではない」と判断するのが賢明です。

 今回の記事には、2011年3月11日東日本大震災の2日前3月9日14時30分ごろに大きな電磁ノイズがあり、それが3.11の前兆、とありました。実は、3月9日11時45分ごろに前震とされるマグニチュード(M)7.3の地震が発生しています。しかし、この地震前に電磁ノイズはなかったようです。

 4月19日に福島県で発生した地震はM5.4(暫定) と、2011年3月9日の地震(M7.3)よりもかなり小さい地震です。
 地震のマグニチュードは1違うとそのエネルギーは約32倍、2違うと1000倍にもなります。
 規模(マグニチュード)のより大きな地震では前兆がなく、それよりかなり小さな地震で前兆あった、というのも説得力に欠けます。

 また、マグニチュードが1小さくなると、その発生数はおよそ10倍に増えます。
 日本周辺で発生するM5クラスの地震は年間120個程度ありますが、M7クラスだと2個程度と極端に少なくなります(2001〜2010年の気象庁地震データより)。
 地震予知は本来めったに起こらない大きな規模の地震を当てなければならないのに、それをハズし、しばしば発生する規模の小さな地震を当てたと言われても、これまた説得力がありません。

 さらに、2011年3月9日の電磁ノイズについては、本震の前兆と考える前に、このマグニチュード7.3の地震による何らかの影響による可能性を考察すべきでしょう。

 こうした記事は、地震などに予備知識のない読者を煽るものに映ります。
 もし、あなたが地震のことをあまり知らない場合、まずは、その情報の出所や大元の発信源はどこなのか?その出所(発信源)は信用できるのか?について考えることをおすすめします。

2022年05月09日