日本地震予知学会の学術講演会に参加
12月23,24日に京都大学で開催された日本地震予知学会第9回学術講演会に参加してきました。
秋の日本地震学会は大学での講義の関係で参加することができず、今年は最初で最後の学会参加となりました。
私は「海鳴りと地震・津波」といったタイトルで発表しました。講演後に参加者の方から有益なアドバイスや耳寄りな情報をいただきました。
地震前兆的な海鳴りは本当にあるのか?今のところ、数少ない過去の証言があるだけです。
地震があると、後になって「そういえば」と、例えば、「カラスが騒いでいた」とか「怪しい雲を見た」などの話が出てきます。しかし、地震がなくてもカラスが騒ぐことも、怪しい雲が出ることもあります。
したがって、そうした現象が実際の防災に役立つ情報になり得るか否かを判断するには、分母となる数をまずは把握する必要があります。
分母の数が少なければ、その現象が見られた場所の近くで発生した顕著な地震との相関を調べることになります。
分母の数が多い場合は、単純に相関を見ても判断が難しいです。しばしば発生するある2つの出来事どうしで相関を調べると、それらが全く無関係であっても相関あり、になってしまうことがあります。
そこで、(分母の)数が多い現象の場合、例えば「怪しい雲を見た」などを種類分けしてみるのが、次なるステップとして考えられます。その際には客観的な基準が求められます。
海鳴りについては、以前から興味を抱いていたものの、分母となる海鳴りを観測する手立てがありませんでした。
ところが最近、"インフラサウンド・モニタリング・ネットワーク"という、一般財団法人日本気象協会が防災・減災への取り組みの一環として行っているインフラサウンド(微気圧振動)データの公開サイトの存在を知りました。
インフラサウンドとは、人の耳に聞こえる可聴域よりも低い領域の低周波音になります。その波源には津波も含まれ、東北地方太平洋沖地震の津波に起因するインフラサウンドを日本気象協会が捉えていたことが、"インフラサウンド・モニタリング・ネットワーク"に繋がったようです。
ホームページ(http://micos-sc.jwa.or.jp/infrasound-net/observed/)上では、誰でも各観測点のデータ(グラフ)を見ることができます。ただし、データをダウンロードするには会員になる必要があります。そこで、私も先日申請をして会員になりました。
海鳴りは一般的に、沖の荒れた天候によって生じた波浪が、崩れる際に出す大きな音とされています。地震とは関係なく、海鳴りをインフラサウンドで観測することはできるのか?まずはこの検証から実施したいと考えています。