トルコ・シリアの地震と怪しい雲 (2)

 2月10日付ブログに引き続き、トルコ・シリアの地震と怪しい雲を取り上げます。
 今回は、気象学者で雲研究科の荒木健太郎氏がツイッターで「雲は地震の前兆にはなりません」といった意見を発したことに対するネット民の反応についてです。

 Yahoo!ニュース2023/2/7(火)18:39配信「トルコ大地震で目撃“地震雲”の正体に気象学者・荒木健太郎氏「雲は地震の前兆にはなりません」」日刊スポーツ(https://news.yahoo.co.jp/articles/13d78990595cf5e0d3ba0228b46c16f11608df44)の内容を以下に引用します。
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 続く投稿でも「何度でも言いますが、雲は地震の前兆にはなりません」と強調。「巷で『地震雲』と呼ばれることの多い雲は全て気象学で説明できる子たちで、雲の見た目から地震の影響等を判断するのは不可能です」と断言し、(後略)
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 このような荒木氏の話に対する読者の反応を、ヤフーニュースのコメントから探ってみます。
 荒木氏の発言を理解し擁護するコメントがある一方で、批判的なコメントも多々ありました。

 批判的なコメントで目立ったのが、「なぜ “ない” 言い切れるのか?」といった内容に関連したものです。
 「雲の見た目から地震の影響等を判断するのは不可能です」といった荒木氏の意見に私も同意しますが、Yahoo!ニュースの読者には、この断定口調がむしろ、“非科学的” と感じたようです。
 断定口調を “非科学的” と感じた点は理解できます。ただし、「ない」ことの証明は、悪魔の証明などと言われることもあり困難です。

 そのようなことから私は、ある事象と地震との間に関連性が見いだせなかった場合、「防災には役立たない情報」といった言い方をしています。

 今回の件でも、赤みを帯びた雲を「怪しい」と思ったところで、それが 700 km 以上離れた場所の 18日後の マグニチュード7.8 の地震を予知できる情報にはなり得ません。
 この雲から「いつ」「どこで」「どの程度の」地震が発生するのかといった情報を読み取ることは、おそらく誰にもできないでしょう。
 仮に、これがいわゆる地震雲だったとしても、事前避難による人命救助といった、現実的な防災には何の役にも立ちません。

 断定口調による「否定」については、私も以前に当時の上司から注意されたことがあります。
 言い方に気をつけないと、反発を招くことがあります。

 いわゆる地震雲は、ネットを見ますと、毎日のようにどこかで見られています。そして、小さい地震を含めれば、日本どこかで毎日地震は発生しています。
 地震雲が仮にあったとしても、それを事前避難を促すような防災情報として活用することは、まず無理でしょう。

2023年02月11日