「メガマウス」が千葉・館山港の海面に出現

 メガマウスが千葉県・館山港の海面に6月15日頃から複数回出現しているとのことです。https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000219800.htm

 深海に生息するメガマウスが連日海面に姿を現したことについて、メガマウスは夜にプランクトンを求めて浅瀬に移動する習性があるとのことです。しかし、今回は日中に姿を現しています。このことについて映像をみた専門家は、傷が多く弱っている可能性を指摘していました。

 しかし、一部の人たちはメガマウス出現を地震の前兆と考えているようです。

 この件については、以前大学の講義で情報リテラシーの問題として取り上げたことがあります。メガマウス出現と、その後に発生した地震を列挙したWebサイトの情報から何が読み取れるか?といった問いです。例えば、このWebサイトでは、マグニチュード4の小さい地震を関連づけたり、三重県のメガマウス出現を、遠く離れた東北地方太平洋沖地震や熊本地震と関連づけたりしていました。また、メガマウス出現から地震発生までの間隔も1日後から約2ヶ月後までと、かなりの幅をもたせています。

 日本周辺でマグニチュード4以上の地震は、年間で900個程度(1日に2個以上)発生しています(2001〜2010の気象庁データより)。また、遠くの地震と関連づけていることについては、もっと震源に近い場所で過去にメガマウスの出現があったにも関わらず、なぜこのときは出現していないのか?といった疑問が生じます。小さな地震だけでなく、場所的にも時間的にも遠く離れたものまでOKにすれば、対象の地震はかなり増えます。

 このWebサイトのような関連づけのやり方は、単に対象となる地震を探してきたに過ぎません。

 さらに忘れていけないことは、小さな地震も遠く離れた地震も対象とするなら、関連づけされた「当たり」の地震の裏には、その何十倍、何百倍もの「はずれ」の地震があるということです。 

 私たち人間は、一般的に予言や予測などについて「当たり」のみに注目を向けてしまう傾向があります。占いや予言を信じてしまう心理です。しかし、それが本当に役に立つ情報なのか?といった視点で考えれば、たいていの予言や予測の「当たり」の裏には、その何倍もの「はずれ」があることに気づくでしょう。

2021年06月19日