巨大地震の啓発活動の難しさ
3月4日にNHK総合にて「南海トラフ巨大地震」のドラマが放映されました。
マグニチュード8.9 の巨大地震が、西日本を中心に大きな被害を及ぼす想定です。また、地震発生当日から一週間後までが描かれ、割れ残りとされる東側で大きな地震が発生したところでドラマは終了していました。
普段からの備え(備蓄や家族での安否確認の方法など)や避難訓練の大切さ、津波の恐ろしさなどを周知させるには、このようなドラマは助けになるでしょう。
一方、ネット上ではドラマ終了後から「なぜ原発が描かれていないの?」といった疑問の声が多く上がっていました。
「原発は安全です」と描いても、「原発で事故です」としても、批判は大きかったのではないでしょうか。そこで、NHKはいずれも描かなかった、と推測しています。
15日には “NHK記事が”炎上”…津波訓練で小学生が高齢者を誘導「巻き添えになる」と批判→町「狙いは高齢者の意識アップ」”(https://maidonanews.jp/article/14861723)といったネット記事がありました。
高知県黒潮町で開かれた津波の避難訓練がSNS上で批判を浴びた、というのです。
黒潮町は子供たちに、自らの命を第一に守りなさい、と伝え、必ず高齢者を助けに向かうよう教育しているわけではない、と説明しています。編集の仕方や受け取り方もあって、「真意が伝わらず不本意」と話したとのことです。
南海トラフ巨大地震は、仮に発生したなら、国家存亡に関わるような、極めて深刻な被害が発生するだろうと予想されています。
東日本大震災では直接的な被害がない地域でも、燃料(ガソリン)等の物資不足などにより、これまでの日常がなくなったところがありました。南海トラフ巨大地震では、東日本大震災以上に影響は広範囲に、そして大きなものになるでしょう。
こうした危機感は、先日のドラマでは伝わらなかったと思います。
また、南海トラフ地震ばかりに注目が集まると、直接的な被害が見込まれない地域の人たちにとっては、「自分のところは大丈夫」といった安全情報になってしまう恐れがあります。首都直下も日本海溝や千島海溝の地震もあります。それだけでなく、日本には至る所に活断層が走っています。あなたのまちにも活断層があるかもしれません。そうした内陸の活断層の切迫度を正確に推し量るのは難しいので、「いつ起きてもおかしくない」と考え備えをするべきです。
国民の命を守るための啓発活動は、これをやっていれば大丈夫といった万能なものはなく、毎回アップデートさせながら、絶え間なく続けるしかない、と考えています。