報道しない自由

 ジャニーズ事務所の創業者ジャニー喜多川氏(故人)による性虐待の話が、やっとTVでも取り上げられるようになりました。しかし、残念ながら、この問題は深掘りされることなく、葬り去られてしまうかもしれません。
 2004年、裁判でジャニー氏の敗訴が決まったにも関わらず、彼のセクハラ行為に対してマスコミは、今のいままで沈黙を守り通しました。いわゆる報道しない自由です。

 この問題については、ジャニーズ事務所とマスコミ関連業界との持ちつ持たれつの関係が、報道しない自由の行使につながったと考えられます。
 やっとテレビ報道されるようになったのに、なぜ追及しないのかというと、事件の深堀りイコール自分で自分の首を絞めること、になってしまうからです。
 遅くともジャニー氏敗訴決定後に、その罪を社会に喚起していたなら、2004年以降の被害は防げたかもしれません。マスコミも犯罪に加担したと言われかねません。

 さて、報道しない自由については、別の理由もあります。テレビも新聞も、何を報道するのかを考える際、時間的・紙面的な制約があります。何を取り上げ、何を取り上げないかの取捨選択は、そのような制約のなかで決められる側面があります。

 前回(5月12日)のブログでも取り上げたMEGA地震予測について、「週刊ポストや夕刊フジ,フジテレビなど一部メディアが村井予測の応援団」となる一方、「大手紙や NHK は村井予測のデタラメぶりを知りながら,報道しようとしない」と横山裕道氏は、マスコミの対応に不満を示しています。
(地震ジャーナル, 2020年12月, 55-58ページから引用) 

 私も横山氏の意見には賛同します。ただ、なぜ大手紙やNHKが村井予測のデタラメぶりを取り上げないのかというと、上記のジャニーズ問題とは異なり、視聴者・読者の関心や社会的影響が、他の出来事と比較して「低い」と判断されたからではないかと推測します。
 とはいっても、一部マスコミが応援団として取り上げているわけですから、それに対抗する民放や週刊誌が、ひとつぐらいあってもいいのではないかとも思います。

 いずれにしても、現状でマスコミが否定的にMEGA地震予測を取り上げてくれることはないでしょう。今のところ、本ブログのように、個人的な発信しか期待できません。

2023年05月19日