今回もSNSで偽情報
令和6年能登半島地震でも、SNS上で多くの偽情報が流れています。
ただ、近年の災害では同様のことが繰り返されるからでしょう、Yahoo! JAPAN ニュースでも「能登半島地震 最新情報まとめ」サイトのなかに「デマ・誤情報に注意」といった項目がありました。
「災害時、SNSの情報に騙されないために」といったことで、以下のことが示されています。
https://news.yahoo.co.jp/pages/20230101a より
ここには、"「いくら正しい情報が来ても簡単には否定できない」飛び交う被災地のニセ情報…SNSでデマ拡散のナゼ" といった記事が紹介されています。
(https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/923049?display=1)
この記事では大変有用なことが書かれています。
東京大学の関谷直也教授によると、
(1)「不安だから流言は広がる」=メカニズムを知ることが大事。
(2)「流言は知者に留まる」=おかしいと思った人が止めることで拡大を防げる。
(3)「流言ワクチンを打つ」=流言がどう広がるのか、あらかじめ知っておけば、正しいかどうか判断できる。とのことです。
私自身は、これまで地震流言について、(3)の「流言ワクチンを打つ」を意識した論文を書いてきました。
地震流言とは、いつ・どこで・大地震が発生する、といったうわさが不特定多数の人に広まることです。
特に大地震発生の直後には、地震再来流言が当地で発生することがあります。また、大地震に見舞われた場所とは異なる地域で地震流言が広まることもあります。
ただ、こうした地震流言には共通項があります。
a) 地震発生の月日を(場合によっては時間まで)指定
b) もっともらしい権威を情報の出所としている
c) 不安を煽る出来事がある
一例として、北海道胆振東部地震で広まったうわさを示します。
「苫小牧の海上保安庁から,苫小牧に地響きあり,約9時頃本震が来る可能性があるそうです.十分注意してください. 2018/09/08 18:28」(SBAPP,2019/1/12
閲覧)
a) 地震発生の月日を指定 →(本日)9時頃
b) もっともらしい権威を情報の出所 → 苫小牧の海上保安庁
c) 不安を煽る出来事 → 苫小牧に地響き(そもそも北海道胆振東部地震が不安を煽る出来事)
特に地震発生について、「いつ」をピンポイントで指定している情報は、その時点で「ウソ」と判断すべきです。(なぜなら、少なくとも現時点で、地震は予知できないので。)
また、「海上保安庁から」といっていますが、海上保安庁はそのようなことを言っていません。このような場合は、拡散する前に、もっともらしい出所(海上保安庁)のホームページ等を確認すれば、この情報がウソだと判断できます。
このように、(3)「流言ワクチンを接種」していれば、(2)「知者として流言(地震発生のうわさ)を留める」ことができます。
偽情報を流す人は、受け手の好意につけこんで拡散を狙っているか、もしくは受け手の罪悪感(これを伝えないと誰かが犠牲になるかも)につけこんで拡散を狙っているのかもしれません。
偽情報を流す輩を止めることはできませんが、受け手の私たちが流言についての知識を持ち、知者になって拡散を止めることはできます。