能登半島地震は想定されていたのか?

 令和6年能登半島地震は想定されていたのでしょうか?
 図1は、全国地震動予測地図 2020 年版にある今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を示したものです。右側の図は能登半島を拡大したものです。

図1:確率論的地震動予測地図
(https://www.jishin.go.jp/main/chousa/20_yosokuchizu/yosokuchizu2020_chizu_10.pdf より)

 能登半島の大半は、0.1%〜3%と相対的に低い確率になっていました。
 このハザードマップから考えれば、今回の能登半島地震は予測できていなかったといえるでしょう。

 では、石川県の地域防災計画に、"能登半島地震"は想定されていたのでしょうか?
 図2は、石川県地域防災計画 地震災害対策編 (令和5年修正)にあった能登半島北方沖の想定地震による震度と液状化の予測地図になります。

図2:能登半島北方沖の想定地震による震度と液状化の予測
(https://www.pref.ishikawa.lg.jp/bousai/bousai_g/bousaikeikaku/documents/jishinnsaigaitaisaku.pdf より)

 想定場所は近いですが、地震の規模(マグニチュード)はM7.0と、1月1日の地震よりかなり小さい想定でした。実際に発生した地震はM7.6ですから、想定地震のおよそ8倍になります。
 輪島と珠洲の大半は震度5強(左図の黄色部分)の予測でした。また、「ごく局地的な災害で災害度は低い。」と記載されていることからも、地震動予測地図同様に、予測されていなかったといえるでしょう。

 ところが、同じ石川県地域防災計画の津波災害対策編 (令和5年修正)では、図3にあるF43地震による津波が想定されていました。

図3:平成28年度津波想定断層位置図
(https://www.pref.ishikawa.lg.jp/bousai/bousai_g/bousaikeikaku/documents/tunamisaigaitaisaku.pdf より)

 こちらの断層による地震の想定は、場所が同じで規模がマグニチュード(M)7.57と、1月1日の地震(M7.6)にかなり近いです。

 わからないことは、「地震災害対策編」と「津波災害対策編」で似た場所の地震に対して、なぜ異なる地震断層を想定をしたのか、です。
 いずれも令和5年修正になっています。また、津波の想定に使われたF43の断層は、平成28年度のものです。さらに、それより以前の平成23年度の想定では、M7.66と平成28年度の想定(M7.57)よりも大きい地震を想定していました。

 なんとも解せません。地震災害対策と津波災害対策で、ほぼ同じ場所に異なる地震断層をなぜ想定したのでしょうか?
 防災会議で「地震対策も津波対策と同じ想定断層で考えるべき」と、なぜならなかったのか?解せません。

2024年01月13日